スペインの木造
今回、スペインはイタリアとは全然違うということを発見し続けた旅でしたが、中でも大きな発見は、マドリード周辺の伝統構法は木造である、ということでした。意外~!!!(知らなかったのは私だけですか?)
イギリス・ドイツ・東ヨーロッパあたりはともかくとして、南欧は積石造のイメージが強かったし、外観は石やレンガ積に見えるし、何しろガウディ等の凄い積石造のイメージが強いじゃないですか。しかし今回、トレドやセゴビアといった古い町の住宅改修工事現場を見学したところ、梁や床といった主要構造部は明らかに木造軸組なんですよ。
マドリードの中心部にある、4,5階建の大きな建物でも、アーケードの梁は大断面木材。同じようなPortico(アーケード)でも、これがイタリアならアーチ構造の積石造ですよね。
こんな木の梁で、上にズッシリ乗っている石の壁を支えてるわけです。中空の軽量レンガも多く使われているようでしたが、それにしても木材の威力に改めて脱帽。
日本の肘木や木鼻を思わせる意匠もあったりして、思わずニッコリ。(Parador de Toledo)
こちらは、私が勝手に「スペイン版・欄間」と名づけていた室内造作(Alcazar, Segovia)
アラブ版「格天井」もありました。(Monasterio de San Juan de los Reyes, Toledo)
軒下ならぬ床下の意匠にも凝っています。
ただ、小口をこんなふうに風雨にさらしているのは、どうなんでしょうね^^;
壁面の意匠としてはカワイイですが、雨の多い日本ではまず考えられないことですね。
ギリシャの神殿がもともと木造であったことは、あの形を見れば納得できる事実。しかし、ギリシャやイタリアあたりでは、現在ではほとんどその形跡が残っていません。同じように不毛になっているスペインには、なぜまだこんなに沢山の木造軸組が残っているのか、どなたかご存じでしたら教えてください。
一方で、こんな凄い空積石造の大構造物も残っているあたりが、混在文化スペインの面白さでしょうか。
(Acueducto de Segovia)