京都・老舗旅館のススメ

イメージ 1

「一流」ホテルが危ない!という話を書きましたが、老舗の旅館や料亭だけは変わらないでほしいものです。

京都の老舗旅館は数年前まで一見さんお断りでした。建物全体が美術品なので信頼できる方しか入れない、常連さんのために宿の品格と静けさを保つ必要がある、などいろいろ考えれば、納得できる措置です。「おひいさま」と呼ばれて育ったような方でも、お爺様がそこを常宿としていたような方でも、老舗に予約を頼む時は少し遠慮したものだそうです。

ただし外国人は比較的フリーパスなので、私のような下流人が時々出入りすることはあります。今回は残念ながら半年前から満室だったT屋さん。(写真は2004年夏に撮影。上から客室と玄関ホール)

イメージ 2

T屋さんでも最近では大手旅行会社のサイトで予約可能になっているのを見つけたときにはややガッカリしましたが、「お墨つき」はないが建築や美術が大好きな人達にもアクセス可能になったということは朗報です。

イメージ 3

こちらでは調度・寝具からお風呂の石鹸に至るまで、女将が吟味して特別に作らせているそうです。古い古い質素な建物ですが、部屋から廊下から、すべての場所が美術品として装飾されています。京都の町衆文化の集約を一晩で体験できます。美術関係の書物を閲覧できる書斎もあり、お庭を眺めながら、古書も手に取らせていただけます。ここにも、客が到着する直前にお茶とお菓子の用意が!

イメージ 5

T屋の仲居さんはとても行き届いていて、しかも他の老舗名店と違い新参者にもイケズをしません(笑)。お料理は一品一品が完璧なタイミングで運ばれます!全てのお部屋はお庭を眺められるように配置されており、各室に桧(槙かも…?)のお風呂があります。仕事もできるよう、各室に書斎が整えられています。掘り込み形式で、高齢者や外国人の足にも易しいです。(一番上の写真)

イメージ 4

エアコン等の吹き出し口はすべて隠されていますが、古い建物だけに、そのご苦心がうかがえます。天井は中杢目、もちろんラミ天ではありません(笑)。1泊5万円~(1名様料金、二人利用の場合)は非常にお高く聞こえるかもしれませんが、最高級のお料理(夕・朝)がつくこと、そしてこの価値ある施設と完璧なサービス内容を考えると、下手な「一流」ホテルよりずっとお値打ちではありませんか?

イメージ 6

こちらは南禅寺近くにある、老舗料亭のH亭さん。

京都の料亭で本格的懐石料理をいただくとなると夕食で一人最低2万円~の予算になります。しかも、そういった最低額のコースで予約をするとイケズされたりすることもあります(苦笑)。そこで私のお勧め裏技は、「朝がゆ」(といっても立派なコース懐石)5500円。ちゃんと名物の「H亭玉子」もいただけるし、こちらの上等なお料理がこの価格で!

気軽な別館もあり、お値段も少しお安めですが、少人数なら、やはり本店がお勧めです。全部で7室ある離れの個室(お茶室)で、ゆっくりお料理がいただけます。ただし本店の朝がゆは、7~8月限定。なので、こちらの写真も夏のしつらえです。