不燃材v.s.思いやり天井

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これは古い町家の台所の天井です。

天井材は竹。非常に燃えやすい材料ですから、現在の消防法なら真っ先にペケでしょうね。
どうしてわざわざ火の上に燃えやすい天井を作ったのでしょうか?

天井の上には、重たい土と重たい日本瓦が載っています。
万一台所から火が出たら、竹の天井はあっという間に焼け落ち、土と瓦がドサッと崩れ落ちてきます。

そうやって、燃え広がる前に消火するように考えぬかれていたのです。

ここは両隣と接する町家の密集地、自分の家を真っ先に潰してでも、ご近所には飛び火の迷惑をかけまいとする配慮だったのだろうと思います。

現在の法律では、失火で隣家を焼いてしまったとしても、損害賠償責任は生じないそうです。

隣家から出た火で自宅を全焼させられてしまった知人に聞いた話なのですが、
実際、出火元のお隣さんは知らんぷり、お侘びの一言もなかったそうです!

それどころか、会っても顔を背けて知らん振りをされ、「地獄を見た」とその知人は言っていました。
一言でも謝罪したら賠償請求をされるとでも思ったのでしょうか?(アメリカじゃあるまいし・・・)

不燃・難燃材や防火・耐火構造も結構ですが、そういった建材は容易にリサイクルも焼却廃棄もできないものが多いということも、心にとめておきたいですね。

台所の天井の竹は、火事で焼け落ちない限りは、カマドの煙でいぶされて良い色具合のススダケになり、
それを茶人や工芸家の方などが有り難くいただきに見えるそうです。

天然の木材や竹は、炭・灰になるまで、大事に使われ、天寿を全うすることができます。