一式見積もりを許すな

3月17日のA新聞夕刊に「キッチンスペシャリスト」の先生による、
「使いやすいキッチン」って?と題した記事がありました。

普通の大人なら「切る」「炒める」と言えばわかるところをわざわざ
「トントン」「ジュウジュウ」などといった独特な表現を使い、ちょっと人目を引く語り口です。

おっとっと、この○○先生、知ってますよ。
関西方面でキッチン体験料理教室を開いてオーダーメイドのキッチンを販売されている方です。

とある現場でお施主様が苦情をおっしゃっているのを小耳に挟んだことがあるのです。
なんでも、何度頼んでも明細の入った見積書を送ってくれず、
施工が済んでから「キッチン一式200万円」という請求書が来たとか!

そこは間口2000程度の小さいI型キッチンながら、
必要あるのかな?と首をかしげたくなる舶来機器や最新鋭の手元給排気器などが満載、
まあこれなら200万円もありうるかもしれないな・・・といった感じでした。

目の高さから天井まで届く長~い吊戸棚が○○先生のキッチンの売り物で、確かに使いやすいですが、
わざわざオーダーしなくても、既製品ロングユニットを自分の好きな高さにとりつけることもできます。

たとえサイズ特注になったとしても、価格3割増し、納期2週間延長くらいでイージーオーダーも可能。
キッチンメーカーで施主の希望を断固として聞いてくれないのは、トーヨーキッチンくらいかな。
もちろん大工さんや家具(製造)屋さんだって、吊戸棚くらい頼めばすぐ作ってくれるはずです。

このキッチンの先生には私は直接お会いしたことはありませんが、
体験料理教室に参加した人たちは皆この先生の優しい笑顔と柔らかい語り口にいつの間にか惹き込まれ、
気がついたらキッチンをオーダーしてしまっているのだとか・・・

本当だとしたらこれはもう、営業力を超えた宗教力ですね!尊敬!!

他人様のご商売の中傷をするのはよくないと承知していますが、これだけは言っておきます。
「一式」の見積もりをそのまま受け取ってはいけません。

この業界では、業者自身が当該工事の詳細についてよくわかっていない場合、
あるいはどこかに「客には言いにくい」利益を盛り込む場合に「一式」を使います。

もちろん、あまりにも安い工事や工種で詳細見積もりを出している時間がとれない場合は別ですが、
内外装工事や木工工事等は見積りをする時点で単価と数量がわかっていないのはおかしいです。

キッチン施工の場合なら少なくとも項目別(ガスコンロいくら、換気扇いくら、ウォールユニットいくら・・・等)に分けた見積もりを出すのが、業者としての最低限の誠実さってものです。

業者に見積もり依頼される場合は、「明細をつけてください」と一言加えてください。
これだけでも「ボッタクリ」はかなりしにくくなると思います。

見積もりなしでも良心的な仕事をしてくれる「近所の親方」もめっきり少なくなったご時勢です。
ぜひとも、数社に見積もりを聞いて回ってくださいね!