6畳間にご用心(間取りの選び方)

休日になるとドサっと入ってくる新築分譲住宅のチラシ。まあ、どうしてこう6畳、6畳、6畳の間取りが多いのかと感心します。6畳間って使いにくいと思いませんか?

中古住宅を買ってリフォームしようとされている方も、6畳間の寄せ集めのような家を買ってしまうと、今風の広々したリビングなどを作ろうと思っても構造的に難しい場合が多いので、注意が必要です。だいたい部屋の区画と同じように大きな梁が入っており、その梁を支えている柱を動かすのはちょっとした大工事になるからです。耐震性を考えてもお勧めできません。

古い日本の住宅を見ると、6畳間はあまりありません。小間(4畳半以下)か広間(8畳以上)が多いのです(4畳半の歴史は古く、室町時代銀閣寺の東求堂に足利義政が作ったものが最古と言われています)。リフォームして住むつもりなら、8畳の和室が襖で区切られて田の字型に続いているような、超古い家のほうがいいかもしれませんね。そういう家は、構造材も太かったりします。

現在の6畳間大流行は、初期の公団住宅(畳部屋と台所の2DK、3DK)からの影響であろうと思います。

確かに、「流し台」の幅が1800mmだった時代には、6畳の短辺(一間半、江戸間で2550mm)に流し台と冷蔵庫を並べておき、残った4畳半強のスペースにダイニングセットを置くこともできたでしょう。しかし今時のシステムキッチンはたいていI型やL型でも一辺が2550mm以上、対面式やオープンキッチンにしたい方も多いでしょう。6畳の中にダイニングキッチンをいったいどう配置しますか?簡単な図でも描いてみていただければすぐにその難しさがわかります。

築20~30年の戸建て住宅にありがちな6畳DKと6畳和室をつなげ、今風の12畳LDKにするというリフォームも多いようです。
しかし柱の太さが3寸5分(10.5cmが20年も経つと痩せて10cmくらいになっている)しかないよくある在来木造の開口部を2間(3500mm~3600mm)飛ばすには、梁の補強が必要な場合が多いのです。袖壁を撤去してしまうことも耐震上望ましくありません。すると結局2間の間の開口は広くても2600mm程度、テーブルを置くには狭苦しいし、今時のマンションによくあるような広々明るいリビング、というのとは程遠いイメージになります。

洋室(ベッドを置く)居室にすると考えても、6畳間は子供部屋には贅沢な気がしますし、夫婦の寝室には狭すぎます。短辺があと30cmでも長ければとたんに話は違ってくるのですが・・・

せっかく4LDK,5LDKといった一見立派な新居を購入してもなんとなく貧乏臭いライフスタイルになってしまうのは、この6畳間とその一間半(2600-2700mm幅)の壁のせいではないかと私は思っています。壁の幅と高さがほぼ一緒というプロポーションも圧迫感を出しているように思います。

都市部のワンルームマンションにも6畳間が圧倒的に多いように思いますが、6畳間の面積は約10㎡、ホテルのシングルルームの基準で考えると非常に狭いエコノミークラスです。

置きたい家具もライフスタイルも変わったのに、未だに古い設計習慣から抜け出せないというのは恐ろしいものですね。