美しや、メゾン千里

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この物件は、千里ニュータウンに昭和45年(1970年)頃に竣工した分譲物件です。文化財として末永く保存すべき良質建築である、と見学会参加者全員が一致しました。(と、いくら我々が叫んでもどうにもならんのですが・・・)

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斜め格子のベランダ手すりや窓の面格子など、実用性とデザイン性が両立しています。バルコニー奥行きが深いところや、強化ガラスを使っているあたり、まさに今風です。

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ゴミ置き場も、鉄柱とワイヤーの簡素な藤棚を添えることで、気持ちの良い空間に仕立てています。偶然でしょうが、ワイヤーのため円形の中央部が微妙に下がり、穏やかな曲面天井になっています。

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窓の上に庇を付けたって、ちゃんとモダニズムに出来るではありませんか!外壁は吹き付け塗装ですが、ヒビらしきものはほとんど見当たりません。
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ファサードはどの棟も同じですが、実に端正です。敷地計画の妙で、どの棟もベランダ南南東向きで、森に面しています。

残念ながら、左手の遠方に見える50階建の「ザ・千里タワー」が、スカイラインを台無しに・・・施工ミスが明るみに出て解約が殺到し、私の竹中さんへの絶大な信頼を失墜させた物件です

千里中央駅徒歩3分。しかもご覧の通り、公園に面して建ち、緑いっぱいの住環境。部屋の広さも、なんと昭和40年代にして、80~100㎡前後です。何たる先見の明!

各所ディティールも、H鋼やCチャンなどを上手く使い、飾らずも重厚感を出していました。広々としたエントランスも、坪庭だの噴水だのと下手な作り込みがない分、使い勝手が良さそうです。

住民の満足度が高いのでしょう、このマンションからは現在売物件は出ていません。最近の成約事例も、リノベーション無しの物件で、平米単価35-37万円だったそうです。

いくら人気の千里中央とはいえ、築40年にして、ずいぶん立派な高値ではありませんか?敷地計画・建築計画が実を結んだ居住環境によるところが大きいように私は思います。

デベは住友商事、施工は鹿島建設、設計は日建設計大阪であることがわかりました。さすがは日建設計さん、目立たないところで「上手い」です!