幻のレストラン

拙宅の近所にタイ料理の店ができて喜んだのも束の間、1ヶ月ほどで閉店しました。

タイ人の料理長が作る料理は本格的で美味しかったのですが、いかんせん場所が悪い。「パプアニューギニアの高地に京料理の店を出したようなものだな」とはある方の名言。

カウンター4、5席とテーブルが一席のみの小さな店に、料理長とマネージャーさん。飲み屋でなければ、たとえ常時満席になったとしても採算が取れない席数です。

大阪府のイナカの、各駅しか止まらない駅から徒歩7ー8分の不便な立地。細い道沿いの目立たない場所なのに、駐車場無し。

もともとは確かおでん屋さんでしたが、そこもあっという間に廃業していました。そこへ「本国の味!安価!」と看板をあげたのが、4月中旬でした。

でもここは、街道沿いのファミレスや回転寿司くらいしか流行らないエリアです。小学校のお母さん達の話題も「マクドチキンタツタ、うまいな~!」です。

これまでもちょっと気の利いた店が出来ては消滅してきましたので、今度のタイ料理店も「応援しないとつぶれる!」と案じ、応援することにしました。

それで毎週1回は通うようにしていたのですが、GW中は休みだと言うし、不定休に閉まっている日が多くなり、だんだん雲行きがあやしくなっていきました。

そしてついに5月中旬、二度と開くことも無いまま「売り物件」の旗が立ちました。

結局、3回来店しましたが、他のお客さんが入っていたことは一度もなく、なんだか、「狐につままれた」としか言いようのない出来事でした。