落語は芸術です

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桂米朝さんが、文化勲章を受章されることになりましたね。落語家では初めてだそうですが、この方はすでに人間国宝。なんたって、ただの芸人さんじゃなくて、上方落語の研究者ですから・・・

11月28日、兵庫県立芸術文化センターの「上方落語競演会」にその米朝さんのお名前がありました。当日の学会発表をキャンセルする覚悟まで決めて買いに行ってみると、すでに完売でした^^; そういえば、最近は米朝さんが出る落語会は発売後30分くらいで完売なのだと聞きました。
理由は・・・ネタなので内緒(笑)

米朝さんが脳梗塞で倒れたとき、吉本興業が完売のチケット払い戻したくないがために、入院中の師匠を無理やり車椅子に乗せて東京へやったという話は、嘘か真か・・・

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写真は、ちょっと以前のものになりますが、そのネタ元の桂枝三郎(えださぶろう)さんと、同じ桂でも文枝(ぶんし)一門で、今年襲名したばかりの桂文三(ぶんざ)さんです。

この日は、米朝直弟子の桂小米(こよね)さんも珍しく出ておられましたが、話と初めて拝見するお顔に夢中になって写真を撮り忘れてしまいました。内弟子時代、隠し子説が流れたと聞きますが、確かに米朝さんにお顔が似ています。

小米さんといえば、我らが枝雀さんの昔の名前ですね。枝雀さんは今年、没後10年となります。枝雀さんの落語、特に晩年は「この世にここまでの芸があるものか!」と思うほどの完成度でした。ちょうどその頃、精神を病んでいたというのもうなずける気がします。

1994年4月18日大阪厚生年金会館中ホールの「鴻池の犬」は、超長い二つのマクラも含めて、全体が純文学作品として仕上がっていると思います。爆笑し、ホロッとしながら、生命について、歴史について、考えさせられます。私はそれまで犬嫌いでしたが、あの落語を聴いて、犬がとても愛しく思えるようになりました。

演じる芸の細かさも、そんじょそこいらの俳優さん声優さんの比ではありません。枝雀さんをライブで見る機会はありませんでしたが、映像ででも良いから見てみたかった・・・(その1994年収録のCDも、もう廃盤になっており、手に入りません)

枝雀さんは、米朝さんにさらに輪をかけたような学究の徒であったと聞きます。枝雀さんが生きていれば、きっと文化勲章を受け、人間国宝になっていたことでしょう。

合掌。