擬洋風いろいろ

一週間ほど前になりますが、出張で長崎に行きましたので、夕刻のわずかな空き時間を利用して、駆け足で見学してきました。(でも、サボった懇親会が豪華で、なんとウニが出たらしいです。大失敗!)

ご当地は、まさに「長崎は今日も雨だった」という気候のようで、コロニアル様式であろうとキリスト教の教会であろうと、屋根は京都も真っ青、いぶし銀の和瓦でした。「断固としてイギリス式の生活を守った!」というグラバー園異人館の数々も、床だけは地盤上50cm程に上げてあり、通気口もしっかり確保してありました。

翻って、きょうび街中でよく見かける「洋風」ミニハウスを思い出してみます。床はベタ床(もっと悪いのは、通気口無しの床下!)、和瓦どころか、軒の出も水切りも無かったりする・・・おそらく昔の大工さんは、施主や建築家が何といおうと、その土地の気候や生活にふさわしい施工方法を守ったのでしょうね。

しかし、「わからんちん」なのは、おそらく施主のほう。今回の長崎で、一番楽しませてもらったのは、出島に再現されたカピタン屋敷でした。

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こんなふうに椅子座で使うなら、なぜ畳を敷いたのですか?最近京都に増えてきた「町家フレンチ」などでもたまに見かけますが、畳に失礼じゃないですか!!!入り口は、せっかく引き戸を制作できる大工さんがいたのに、わざわざ開き戸にして、ご丁寧に塗装まで・・・綺麗な和プロポーションの真壁の和室に、こんな壁紙を貼り付けているのも、初めて見ました。

一見、この日本家屋がヨーロッパのハーフティンバー住宅風に思われたのかもしれませんが、オランダ人のカピタン様は、微妙かつ根本的な違いに、気づくことができなかったのでしょう。私個人的には、郷に入って郷に従えない人達には同情できませんね~。だいたい、日本人はこんなもの食べませんから・・・

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ちなみに全国各地の明治期あたりの擬洋風の建物を見学すると、たいがいカビ臭いことに気がつきます。日本の気候で洋風の小さな開口部にすることの無理が、その辺りにも表れているように思います。

とても勉強になった長崎でした。