奈良・国宝仏像ツアー1・當麻寺

国宝ツアー2日めの19日(日)は、奈良の當麻寺へ行きました。大阪から、竹内峠を越えて奈良県に入るとすぐです。

余談ですが、ここ當麻町は、人々の生活満足度が非常に高いのだそうです。大阪・奈良への通勤も十分に可能ですし、周囲には自然もたっぷり残っている。相撲の発祥の地だったり、歴史のある造り酒屋が多かったりして、文化的・経済的にも豊かそうです。

こちらのお寺にはなぜかいつも夏か冬にしか来たことがありあませんでしたが、新緑の季節も、背後の山々が美しくてなかなか良いと思いました。

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當麻寺の境内は変わった伽藍配置で、時代を経て六宗→真言宗→浄土宗と宗派が変わったため、伽藍の軸が、南北から東西へと変化しました。そのため、現在の山門(東端)を入ると、左手に塔が二つ並んでいるという不思議な配置になっています。が、もともとは、南から見て左右に対称な東塔と西塔だったわけですね。納得。

ちなみに、塔が二つオリジナルのままで残っているのは日本ではここだけとのことです。薬師寺さんは昭和に入って再建しましたが、明らかに時代が違って見えますよね。

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本堂は、いかにも「天平~!」といった感じの、大らかな建物。曼荼羅図も、須弥壇天平時代)も、建物自体も、国宝です。しかしここで私の一番のお気に入りは、元々は本堂だったという、金堂です。元々のご本尊の弥勒如来(これも珍しい形らしい。国宝)と四天王さん(重要文化財)が、非常に見やすい自然光の中に、惜しげもなく安置されています。

増長天様の横顔がまた素晴らしい! しかし、塑造や乾漆造のほうが木造より良い状態で保たれているというのは意外でした。


當麻寺は、禅寺でいうところの塔頭のような小さなお寺さんから構成されています。本堂や講堂・金堂は、それぞれのお寺さんが交代で管理しているとのことでした。今回は行きませんでしたが、「中の院」さんもなかなかのお勧めです。江戸初期のお庭や八窓茶室の他、酒樽で作った離れの茶室など、面白いものが沢山あります。

要注意は、奥の院さん。(スミマセンですけど)この時期、近鉄あべの橋駅あたりでは、奥の院さんのポスターがドドーン!「當麻寺では今、ボタンが見ごろです。當麻寺においでの方は~」などとアナウンスまでしています。どうやらボタン園を売りにしていらっしゃるようなのですが、建造物や仏像的には、ほとんど文化財的価値はありません。

それどころか、おかしな石の大仏さんがボタン園の中にドカッと置いてあったりして、サンフランシスコの「ジャパニーズ・ガーデン」を思い出させる珍妙さまであります。例の仏像にウルサイお客人が以前に「あれは仏師や彫刻家の作じゃない。石屋が作ったものだ」とかなりご機嫌を悪くされてしまった記憶がありますので、今回はパスです。

奥の院に入られますと東塔と西塔が一緒にカメラに納められますよ~」などと案内されましたが、別料金ですよ、当然のこと。

この時期、いつも思うのですが、お寺は花を見に行くところではありません。お寺さんも、花で参拝客を集めようという習慣はおやめくださいませんでしょうか?こちら奥の院さんは、京都の知恩院さんの出張所(?)として後から創られた浄土宗のお寺なのですが、なぜか當麻寺のウェブサイトには含まれておりません・・・どういう関係なんでしょうね?

さて、「花より団子」の私ですが、(「花より仏像」ではなかったのか・・・?)以前にも「赤福よりずっと美味しい」とご紹介した、當麻名物の中将餅。今回はなんと、餡子が大嫌いなうちのボスが「美味しい」と言って食べました。そのくらいサッパリした、スーッととろけるコシ餡です。

しかも緑の野菜が苦手で食べられないボスが、なぜかこのヨモギたっぷりの緑ミドリしたお餅を喜んで食べたという、オマケつきでした。

残念ながら、いつも中将餅の写真を撮るのを忘れて食べてしまいますので、
よろしければこちらをご覧下さい。 (中将餅の回し者ではありませんが・・・)

中将堂本舗ウェブサイト http://www.chujodo.com/