伊丹十三記念館

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中村好文さん設計の、伊丹十三記念館、行って本当に良かったです。

中村さんらしい品の良い建築も良かったけれど、展示も、予想以上に素晴らしかった。常設一室と企画展一室だけの小さな小さな記念館ですが、密度がとてつもなく濃い。どうせ古い写真とか子供時代のノートなんか展示してあるだけだろう、とタカをくくっていましたが、その古い写真と子供時代のノートが、タダモノじゃなかったのです!

2時間みといて本当に良かった・・・

「天才というものは子供のときから全然違うのだ!」と強烈なアッパーを食らわされた思いです。この方の場合、天は二物を与え賜うたどころか、十三物くらい与え賜うたようです。デザイン、イラスト、音楽、俳優、科学、語学、執筆、料理、発明・・・エトセトラ。ご本人は浅学菲才などとおっしゃっていますが、すべて独学で、先駆的で、一流を極めています。

常設室はテーマ別の13のコーナーに分かれ、この多才な人物の様々なの業績が展示されています。ファンを泣かせる凝った展示も、中村さんが練りに練ってプロデュースなさったのだそうです。中村さん自身が熱狂的伊丹ファンだったそうですから、お仕事抜きでなさったのでしょうね。

開館以来1年半続いた「お葬式」の特別展示は12月8日までだったので、ギリギリ駆込みセーフでした。ずら~っと並んだ絵コンテは圧巻でした。次は「マルサの女」だそうです。「タンポポ」の企画展になったら絶対また行こう、と思いました。

ここはとても感動的な場所で、居心地の良い優しい空間なのですが、類稀な才能を亡くしてしまったことを思い、やるせなくなる記念館でもあります。館長である宮本信子さんの挨拶ビデオをみて涙をためていたのはアナタだけではないと、スタッフのお姉さんが教えてくれました。

私は、伊丹さんの死は実は他殺だったに違いないと疑っている一人です。次回作のために取材途中のネタ(産業廃棄物、巨大宗教団体)もあったそうですから。なぜ誰もあのいかにも不自然な「自殺」の謎を追及しようとしなかったのかが、一番不思議。誰かが後をついで作ってくれればいいのに、とスタッフのお姉さんは言ってましたが、うーむ、私も遺志は継いで欲しいけれど、同レベルの仕事ができる人がいるかどうか・・・

伊丹さんの好んだという飲み物が揃えてあるカフェ(写真)にも、自筆のスケッチが展示されています。撮影中に監督自身が描いた「タンポポ」の出演者達の似顔絵で、映画のポスターにもなったものです。

私はここで素晴らしい展示の余韻を味わいながら、「みかんジュース・サンプラー(飲み比べ)」と、記念館の建築模型ケーキをいただきましたが、これももしかして中村さんのプロデュース?

松山市の新しい名所として是非皆さんにお勧めしたい、素晴らしい記念館でしたが、ひとつだけ苦言を呈させてください。

監督、どうして嘉さんを描いてくれなかったのですかぁぁぁ!!!(号泣)

伊丹十三記念館は、伊予鉄松山市駅から砥部方面行きの伊予鉄バスで20分(250円)です。15分に一本くらい来る路線なので、思ったよりも便利です。http://www.itami-kinenkan.jp/

今すぐに松山まで行かれない方も、上記の伊丹十三記念館ウェブサイトと、このドキュメンタリービデオ「13の顔を持つ男」をご覧になれば、大体の内容がわかります。http://itami-kinenkan.shop-pro.jp/?pid=5233897

うわっ、しまった、「お葬式」のシナリオ付絵コンテ集もショップで売ってたんですね。気づかなかった!