松山城と道後温泉

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出張研修で松山に行ってきました。とても良いところでした!しかしこの冬一番の冷え込みとやらの日で、雪がチラホラ降っていました。愛媛県にも雪が降るんだ・・・ビックリ。この日、福岡はもっと激しく降ってたそうで、私の日本の気象知識はかなり怪しいことが判明。とにもかくにも、松山城には登ってきました。

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天守閣は江戸末期の建築ですが、小天守は昭和41年、国宝指定寸前に放火で焼失しました。しかし国宝指定のための詳細な図面が残っていたため、忠実に伝統構法で復興することができました。昔ながらの手仕事で仕上げてあるので、40年以上たった今、江戸期の建築と見事に調和しています。天守で復元工事の様子を克明に記録したビデオが上映されていたので、凍え震えながら見てきました。その当時でも、大材や、「ちょうな」を使える職人さんを調達するのは大変だったようです。鉄筋コンクリートによる復元が主流だった当時、この松山市の決意とご苦労には拍手を送りたいです。

あまりにも素晴らしいビデオなので、授業使用のために貸出しをお願いしたのですが、断られました。地元の知り合いを通じて再度、市役所に交渉中です。(それでもダメなら市議会議員さんに・・・)

ささっと見ていくつもりだった松山城で、思いがけずたっぷり時間を過ごしてしまいました。窓を開け放ってもちろん暖房もない城の中は厳寒で、身体の芯まで冷え切り、唇もカサカサに・・・

本当はこの後、地元民や松山通の方々お勧めの「奥道後温泉」に行くつもりだったのですが、4~5kmも離れていて、バスも1時間に1本しかないため、時間切れで諦めることとなりました。

二の丸址庭園も時間がかかりそうだったので次回までお預けとし、一路、近場の道後温泉へ。まずは道後の街歩きをして、最後に温泉で冷えた身体を暖めてから帰るとしましょう。「一路」と意気込んでみたわりには、下車した道後公園駅は松山城から路面電車でほんの2駅でした。松山市内からこんなに近いのなら、温泉街に泊まればよかった~(涙)

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道後公園は、中世の城下町の遺構をそのまま公園として開放している、とても素敵な公園でした。庭園風の自然素材を公共の公園であのようにさりげなく上手に使っている希少な例です。そして、道後温泉の町は、公園北東入り口のの目の前に広がっていました。坂の多い町で、135段の石段を登ると立派な神社があったり、ユニークな仏像のあるお寺もあります。でも何といってもここの見所は、道後温泉本館の歴史的建物でしょう。ここは外湯のみですが、和室(大広間&個室あり)で休憩もできます。

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内部の写真撮影は不可でしたので、コチラで見てね。皇族専用の湯殿「又新殿」を見学しましたが、障子の桟も欄間も、大変に凝った木細工意匠の嵐でした。

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こんなに素晴らしい歴史的建築と日本最古の温泉があるのに、最近は客足がめっきりだそうです。松山城は勿論、松山市全体も、風光明媚で歴史を感じる落ち着いた雰囲気の街なのに、不思議です。また、観光地のはずなのに、食べるものもとても良心的な価格で、魚や地鶏が美味しかったです。松山市は、対人口飲み屋率が日本一高いとか高くないとか、地元のセンセイがおっしゃっていました。

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地元の方に連れて行っていただいた道後温泉本館横の「麦酒館」3種類ある地ビールも、地元の食材を取り揃えた料理も、完璧でした。しかも安っ!私はまた是非来たいな、と思いましたし、実際、リピーターの松山ファンだという人もいました。大阪からも神戸からも、一日に何本も飛行機や高速バスが出ており、意外と便利です。私は高いのを買ってしまいましたが、上手く予約すれば大阪から片道9000円~の飛行機もあったみたい。さらに東京からだと、飛行機&宿泊パックで一流旅館に破格料金で泊まれるのだとか。(リピーター談)こんなに良い所なのに、どうして全体的には客足が落ちているのでしょう・・・?道後温泉本館の横の小高い丘の上の駐車場に上り、そこから町を眺めて、「ああ」と思いました。旅館やホテルの、美しくない大型のビルが乱立しすぎているのです。

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道後温泉本館の歴史的建築が「模型か?」と錯覚してしまうほど、周囲から浮いて見えます。これがもしも、ただ静かな町並みと周囲の山々、そして遠くに見える海と島々に囲まれていたなら・・・城崎にも大きな旅館はありましたが、温泉街の中心部からは目立たないように配置されています。だから、浴衣姿でブラブラ、町歩きを楽しもうかな~という気にもさせるのです。(城崎は外食する場所があまり選べないし、高くつきますけど、ね)。

道後温泉には、そぞろ歩くような風情のある街が残っていないことが問題かもしれません。「ハイカラ通り」なんてアーケードも、ただの明るすぎる土産物屋街であり、風情もクソもない。ボランティア観光ガイドらしきオジサンが「坊ちゃんからくり時計」が時を刻むまでの間、美声を聴かせて歌まで歌って頑張ってくれているのに、なんとも残念なことです。今時は、修学旅行で京都に来る中高校生だって、新京極なんかじゃ喜びません。松本城を伝統建築で再建した心意気に習い、「温泉地」のあり方も、考え直す必要がありそうです。

なんてことを思い巡らした後、「さあ温まって帰ろう!」と地元民お勧めの「椿湯」に向かったところ、
「12月1日~12月14日、配管工事のために休館中」。ガァ~ン!!!せめても外の足湯に入ろうとすると、こんな日に限ってタイツを履いている自分に気づき愕然・・・イヤァァァ~!!!(号泣)結局、温泉は諦め、冷えた体のまま大阪に帰り、空しく自宅の風呂につかったのでした。

皆さん、出張は計画的に。

追伸:松山空港から市内中心地までリムジンバスで20~30分。とても便利です。道後~市内~空港を結ぶ路線バスもありますが、時間がかかってリムジンより高いので要注意!