フリージャズ入門盤

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佐藤充彦さんを買いに行ったのにどこにも売ってなかったので、しかたなく代わりに買ったところが、思いがけずマイ・ベスト・アルバムのひとつになってしまった一枚。

山下洋輔ニューヨーク・トリオの、'TRIPLE CATS’。2008年・・・ってことは、新譜ですか?

実は今まで、山下洋輔さんて食わず嫌いしてて、聴いたことなかったんですよね。ステージでピアノを壊したり焼いたりするとかいうエピソードが許せなくて。私、物を壊すパフォーマンスとか、パイを人の顔にぶつけるようなギャグは生理的に嫌いなんです。でもこの音を聴いて、山下さんのそういった蛮行エピソードはちょっと信じられない気がいたしました。

「フリージャズってどんなの?」という初心者向けにも、安心してお勧めできると思います。人を不快にさせるような刺激は一切なく、すべての音と、そこに出来上がっている空間が美しいのです。明確なリズムのある曲や、メロディのある普通の曲もバランスよく入っており、とても聴きやすいです。たとえフリージャズがお気に召さなかったとしても、CD代の元くらいは取れると思います。

モダンジャズってどんなの?」と聞かれてマイルスの「Kind of Blue」なんかを聴かせると間違いなく眠りに入られてしまいますが(ジャズ好きの中では歴史に残る名盤と言われているのに!)、その点この「Triple Cats」は、アコースティックな音と正統派なジャズの演奏方法を守りながらも、聴く人を飽きさせないよう、「古さ」も感じさせないよう、とても巧みに作られていると思います。