合板だらけ『大国の首都』

ワシントンDCへ観光で行くとメモリアルや美術館や博物館などが集まる『モール』が中心になり、緑の芝生に白亜の殿堂が並んでいる、といった明るく綺麗なイメージですね。

でも今回は私は国際会議場と宿泊先していた市内北西部の間を往復する毎日で、住宅地では、1ブロック(約200メートル)に4~5軒という空家の数に圧倒されました。低所得者の多そうな地域でしたし、サブプライム問題で追い出された人達の家だったのでしょうか?地元の人々に聞いても「んー、そうかもね・・・」となぜかハッキリした答をくれません。

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国際会議場の周辺も、ご覧のとおり、ずらっと並んだ商店が全部空家になっていました。修繕するつもりの無い入口や窓には合板が打ち付けられており、不気味な感じです。地上げはしたものの開発がストップしている、といった状態でしょうか。

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一方の国際会議場は、ピカピカの新築で、3ブロックにわたるアホのような大きさ。ほぼ全員が寒さを訴えるほど、ガラス張りの建物に冷房をガンガン効かせていました。全館空調なのでコントロールできないとのことでした。今時珍しいエコ設計(?)です。

会議前の研修期間中など、周辺に食べ物を買える店が皆無で、寒いわ腹は減るわで本当に困りました。チャイナタウンまで行く時間はないし、ホテルで食べたら高いし・・・。数千人の利用者がいたにもかかわらず閉めていた会議場のカフェテリアは、一体何を考えていたのか!

合板の町を見ていると、景気が悪かった頃のサクラメントダウンタウンの風景を思い出します。サクラメントもワシントンDC同様、昼は『緑と白』で明るく、夜は人気がなく物騒になる町でした。どうも、首都の行政機能だけを切り離すとそういうことになるらしい。勤め先がダウンタウンだったのですが、車で遠出をしないことには昼食を食べるところはないわ、会社の回りは空家だらけで物騒で歩けないわで、毎日の出勤が楽しくなかった思い出があります。おまけに州都の飲食店は、官庁の休日には一斉に閉店してしまいます。そして官庁の休日は民間企業(私ら)のそれよりもはるかに多いのです。号泣(アメリカでは、日本のような『国民の一斉祝日』はほとんどありません)。

今またサクラメントは建設不況で、住宅は底値、優秀な教え子達も仕事を失っている模様ですが、人気の隣町デービスでは、どんな時でも住宅価格や家賃が下がることはなく、空家物件もありません。

ああ、家は場所で選んで買いましょう・・・(落ち目の町に住み泣く私)

東海岸のワシントンDCでは、こんなに空家が多いのに、住宅価格は依然高いらしいです。なんで?NYのマンハッタンやブルックリンでは、家賃の高騰ぶりに地元の人々(庶民)は頭を抱えていました。日本の基準では許されないような相当ガタの来た古いアパートでも、1LDKで月20万円近くします。ちょっとマシな売物はどこも億単位で、景気の良いヨーロッパ人が買い漁りに来ているそうです。

大都市部では大型商業物件の建築ラッシュで、NYあたりでは建設業界はバブル状態だとか。東京の昨今の建築バブルも謎なんですけど、いったいどこに景気の良い人がいるの??? 

この2枚の写真は道路をへだてて向かい合っているのです。なんだかとっても象徴的です。