平野屋新田会所解体(大東市)

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江戸期に立てられた「平野屋新田会所」(大阪府大東市)が今年1月、国の史跡指定を求めた人々の願いもむなしく、重機のツメで跡形もなく解体された。300年前の風景を今に伝える貴重な建物が、なぜこんなことになったのか。(朝日新聞3月8日夕刊)

残念ながらお邪魔したことがありませんが、鴻池新田会所にはない水路跡や農家なども残っていたそうで、貴重な遺構だったと思われます。建物(門)だって、写真で見る限り、とても良い状態のようだったではないですか!

昨年まで大東市商工会議所の会頭だった方とも懇意にしていただいていましたし、知っていれば何かあちこちに手を回すお手伝いもできたかもしれないのに、と悔まれます。地元の学生さん達と一緒に何かできたかもしれないのに、教育の機会を逸したという意味でも私の罪は深いです。今の若い学生さんはみな古いものの価値がわかる人達ですから。

それにしてもたったの数億円の話。

大東市はできる限りの手を尽くして方々に支援を求めたのでしょうか?文部科学省は、文化庁は、いったい何をしていたのでしょうか?今の大阪府に頼んでも、「文化財などカネの無駄。」で斬り捨てられるでしょうけど・・・

これがヨーロッパなら必ずや行政が立ち上がって何とかしたでしょう。アメリカなら、どこぞの富豪がポンと買い取るか、民間団体の寄付で解決したことでしょう。本件でも、保護を訴える人々の「考える会」は草の根で5千万円もの寄付を集めたようです。ボランティア団体がそこまで頑張ったのに、なぜあと一歩、誰も助けてあげられなかったのでしょう。海外の、日本の伝統文化に理解のあるお金持ちの援助をお願いするという手もあったと思います。もし私が知っておれば、保護の署名と支援金の寄付をお願いして回るくらいのお手伝いはしたのに。建築学、土木工学、農村計画学、森林生態学文化財保存学、民俗学歴史学…等々の研究対象としても貴重な遺構だったのに、全国の学識者や研究機関に呼びかけて協力しあうことはできなかったのか?

一度壊してしまったら二度と見ることも知ることもできないものが、また一つ失われてしまった。未来に伝えるべき価値をみすみす壊してしまった。たかだか数億円の開発用地のために・・・

これは我々全員の「不作為」の罪です。

そしていくらご商売とはいえ、この不動産業者は自分達の行為の恐ろしさ、そして恥を知るべきです。ここに新築される住宅地を購入されようという方達も、ここで何があったのか知っていただきたいです。