大阪アンダーグラウンド

この濃いめのイラストを見たときに気づくべきでした。

イメージ 1

生まれて初めて、大阪のライブハウスというものに行ってきました。京都・神戸・東京・横浜ではある程度通いましたが、よく考えたら大阪では行ったこと無い。敢えて避けたつもりはなく、自分のお気に入りのミュージシャンがなぜか大阪には来ないからでした。

今回のお目当ては、やっと関西に来てくれたさがゆきさんの即興ヴォイスユニット「ケロフク」。ケロフク(さがゆき+蜂谷真紀)を聴いたのは今回が初めてでしたが、期待を上回る完璧さ!面白さ!いきなり生声で客席の端と端から掛け合いで登場したお二人。この人達にとってマイクは拡声に必要な道具なのではなく、ただの面白いエフェクターでした・・・呆然。

さがさんは聴けば聴くほど惚れ直しますが、似たようなことができる人がもう一人いたとは…絶句。頑張ろう。思いがけず聴けた佐藤允彦さんの20分間即興ピアノも身動きできないくらい感動モノだったし、チャンゴ(韓国の民族音楽)のグループも凄く良かったです。箕面ヨロカジ・・・だったかな?ドラムセットをPCにつないで「映像を演奏」してた方は一楽さん? すげ~!

とにかく、これでたったの1500円では申し訳ない、超豪華フルコース・メニューでした。だいたいライブハウスで生ビール300円って何!?他の店なら800円以上ですよね?

やはり即興はCDよりライブ、さがさんや佐藤さんが大阪で見られたというのも有難かったですが、大阪のライブハウスというもの自体も、衝撃的な体験でした。東京のミュージシャン達が、どうして九州や北海道ツアーには行っても大阪に来てくれないのか、京都や神戸には来てくれるのに、どうして大阪には来てくれないのか、よくわかりました。ここは濃すぎるんです、たぶん…。白人が黒人街に入っていきにくいのとよく似た、人種バリアをビシバシ感じます。

トリで出てきた小林万里子]&鷲尾悠持郎のブルース・コンビを聴きながら、私の目はずっと点でした。「なにわのジャニス・ジョプリン」とか書いてありましたけど、この方はもっと断然黒いです。黒人の格好だけ真似してブレードなんかしてるJ-POP歌手なんかとは別格の、本物の黒さを感じました。見た目はどこのスーパーにいそうな普通の大阪のオバチャンなんですけれども・・・。麻薬中毒ロック歌手なんかに例えてはとても申し訳ないほど、危ない面白さの裏に底知れぬ強さと社会性を秘めた、私に言わせれば「なにわのニーナ・シモンです。

場所は大阪市が作って経営破綻した遊戯&商業施設「フェスティバルゲート」の8階になぜか居座っているライブハウス、「ブリッジ」。エレベータで登っていく途中、テープを貼って消されている空店舗だらけの館内案内や、窓の外に広がる動かない遊園地(閉鎖中)の風景が痛々しい場所です。そしてこのバブルの遺産の眼下に広がるのは、「新今宮」駅と釜ヶ崎あいりん地区です。そこで「長居公園強制立退ブルース」ですからね・・・

人の背中を蹴倒し、地面に這いつくばった人の腹の下に手を突っ込んでくすぐるような、大阪の笑い。自分の「死」さえ笑のネタにしていたという、故・ウクレレ前田さん(←今日の追悼イベントの主役)。小林さんのライブでは途中で客が出て行くそうですが、確かに、東京人にはとても耐えられないかも・・・でもつい、次のライブのチラシ持って帰ってしまいましたよ~。ああ、ジャズもブルースもパンクも前衛も同時に楽しめる幅広さが大阪にあって良かったな~

テレビ等で流れている吉本新喜劇上方落語、上方漫才などのメジャーな方々は、全国向けにオブラートに包まれているのだということがよくわかりました。食べものも建築材も地産地消が良いに決まってますが、笑いも全国区にすると鮮度が落ちるかも・・・大上留利子や上田正樹が大阪ソウル代表かと思ってましたが、彼等は地元で見るとかなりお上品なほうですね。

こりゃひとつ、通天閣を頭に載っけた歌姫「大西ユカリ」も一度見に行かないといけませんね。