岩倉、上賀茂、大徳寺

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賀茂川沿いの桜は大変な見頃でしたよ~(運転していたので、写真がなくてスミマセン)。

バスの本数も少なく、是非とも車で連れて行きたかった場所。若い人なら歩いてもらうところです。下鴨神社から上賀茂神社への参道、京都一の散歩道です。わざとちょっと遠回りして、植物園や北山通りといった名所もお見せしながら走ります。

まずは借景の庭で知られる禅寺へ。ご住職のご意志に配慮して名前は伏せますが。こちらの建物の移築元の仙洞御所も、また同じ後水尾上皇の建てられた修学院離宮も見学済みなのでいろいろな説明もすんなり理解していただけ、まるですでに京都上級者の皆さん。

その後は、上賀茂神社へ移動し、社家町の遣水システムをご紹介。小川沿いに歩いていくと、「ああ~天国!」の叫びを禁じえない、癒しの森林環境が広がります。川沿いの散歩道といい、ふたつの緑深い神社(ともに世界遺産)といい、静かな住宅環境といい、この地域に住むことがいかに特権であるかつくづく思い知らされます。駅近だろうが駅徒歩2時間だろうが、京都の不動産市場では一切関係ないのです。

スキヤ建築を見てみたい」というアメリカ人大工のNさんのために西村家別邸にももちろんご案内。「うちもこんな庭にしたいわ~」というインスピレーションの広がる優しいお庭もあります。でも実は年間管理にベテラン庭師2名x60日間以上かかっているのです。

午後は大徳寺さんの塔頭のひとつで、ご住職のお点前でお茶をいただきました。素晴らしい法話までいただき、一同大感激。通常、次客以降は普通茶碗や水屋出しで「省略」するところを、ひとつひとつ産地・特徴の違う大切な茶碗を全員に用い、説明までしてくださいました。さらに、膝が悪くて正座のできない二人のために無作法の許しをこちらから乞う前に、椅子を用意してくださいました。寛大なるご配慮に、今度は私が感激!!!

イメージ 2そして「平成の待庵」を特別見学(写真は数年前に撮影したものです)。利休生誕4百年を記念して三千家が寄進されました。障子の桟まで全部竹、竹、竹…の竹づくし。床柱はアカマツの皮付き丸太です。山崎に現存する待庵とは若干内部造作が違いますが、こちらのほうが利休さんの図面に忠実だそうです。山崎・妙喜庵の待庵(国宝)は中には入れませんが、こちらでは実際に座らせていただけます(要・許可)。

2畳茶室の気分は、実際に座らないとわかりません。煤壁(すすかべ)や室床(むろどこ)などの特徴も
朽ちていない分、こちらのほうがよくわかります。坪露地(写真)があるのも、こちらだけです。にじり口は一般的なお茶室よりも若干大きめ。それでも彼らには到底無理でしたけど・・・^^; 大柄なアメリカ人4名を2畳の極小お茶室に押し込めてしまいましたが、なぜか大好評でした。

玄関ホールの、幅1mx長さ5mもあるかと思われる一枚もののインド紫檀の床板や、小間の超特大サイズ古材天井(2枚で四畳半)を見てしみじみ感心している大工のNさん。国は違っても、古い良いモノの価値がわかる人はわかるのね。小間の天井は、ミンチ解体されかかっている古家をたまたま通りかかった和尚様が見つけ、慌てて工事を止めさせ、天井材をすべて買い上げられたそうです。枯山水の方丈庭園は屋根葺き替えのために一部に足場が組まれており、「あちゃー」と思いましたが、旅行中ずっと興味をもっていた杮葺の作業風景が間近に見られ、Nさん達はむしろ喜んでいらっしゃいました。

最後は同じく大徳寺の中の、あの名物和尚様のいらっしゃる大仙院へ行きました。国宝のお座敷の扉が閉まっていたことと、写真撮影禁止になったのがちょっと残念でしたが、修学旅行生が無茶しないように用心してはるのかな~。ここは平型禅庭と石組の基本が一目でわかる場所なので、外国人旅行者で一杯でした。

今、春の特別公開があちこちで行われていますが、ここ大徳寺さんでも、興臨院と黄梅院が特別公開中。大仙院を失礼した頃にはまだ16時で、もうひとつ塔頭を回れないこともなかったのですが、もう全員、心がお腹いっぱいという感じだったので、本日の見学はここでお開きにしました。

今日は禅とお茶と癒しの小空間をじっくり味わった一日でした。