木村家の人々 (1988日本ヘラルド)

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今日、3月1日は俳優・加藤嘉さんの命日です。

木村家の人々(1988 滝田洋二郎監督)]は、嘉さんの遺作となります。亡くなったのが3月、映画の劇場公開は5月ですから、ご自分ではご覧になってないのですね・・・

近所に住む91歳のややボケ気味の老人、トキジローさんの役です。嘉さんはこのとき、実際は75歳。見事な老け役です。トキジローさんは、木村家にやってきた美しいお婆さん「ミツさん」(風見章子)に一目惚れします。ラストでは「色に勝る妙薬なしじゃ!」の決めセリフもあります。

実は奥様と娘さんの回想録によれば、嘉さんは晩年まで、「婆さんは嫌いだ。若い女はおらんのか?」と、色気たっぷりだったそうですが、ミツさんとのデートの場面では、赤いセーターにオーバーオールというお洒落ないでたち。ストーリーを展開させる重要なセリフはみんな嘉さんだし、ファンには見どころ満載の映画です。

しかもこの映画の中では最後まで元気いっぱい!晩年は劇中で死亡する役が減ったような気がしますが、やっぱりこの時点ではシャレならんかったのかな・・・。この映画を撮り終えた後の1988年3月1日、嘉さんは脳梗塞で本当に亡くなりました。

娘の千代さんは、それまでお父さんが劇中で死ぬシーンをあまりにも沢山見てきたため、「また『はいカット、お疲れ~』で起き上がるんじゃないか」と思えてならなかったそうです。その日も普段どおりに暮らして、闘病とか苦しみとかの全然ない、スッキリした最期だったようです。「良い映像沢山残して、全部撮り終えてから奥さんの膝の上でポックリ。何から何まで羨ましいや。」と、長年の同僚であった花沢徳衛さんは仰ったそうです。

この映画、主役の木村夫妻(鹿賀丈史桃井かおり)は私的にはあまり好きじゃないんですが、子役の太郎君(伊藤充則)が実に良い味を出しています。私はもう、嘉さんの大写しの笑顔だけでクラクラっと失神ですけど。

天国の嘉さんに花束を・・・