脇役ファンの苦労

私の愛する加藤嘉さんは、名脇役として一部に熱狂的ファンを持つ俳優さんです。
(名前は知らなくても、たぶん顔を見れば「ああ、この爺さんね」とわかります)

映画だけで350本以上、テレビや舞台を含めたらいったい出演作が何本あるのか見当がつきません。
私が生まれるずっと前から映画に出ている方なので、今までチェックできたのはほんの50作程度です。

古い映画等は、ビデオやDVDで見ようと探していますが、なにせ脇役なので、
パッケージに書いてある出演者一覧には名前が載っていないことがほとんどです。

検索をかけても「加藤嘉」の名前では何も出てこないので、調べるのに手間がかかります。

しかも、やっと探し当てた出演作の2時間のうち、嘉さんの出演時間はほんの1~2分だったりします。
しかもその1~2分が、死体として横たわっているだけだったりすることもあります!

(なにせ老人役が多い方なので、物語中に死んでしまいがち・・・)

重要性のほとんどない、エキストラかと思うほどのチョイ脇役でも、構わず引き受けています。

しかしさすがに名優だけあって、一瞬出るだけでも画面が引き締まるのは良いのですが、
見られる時間は短いのにやたらと本数ばかり多く、追跡に時間とお金がかかります。

もうひとつファンを悩ますのが、その出演ジャンル、役柄の幅広さ。
どんな映画にどう出ているか、わかったもんじゃありません。

もともとは社会派演劇の俳優さんだったのですが、映画やテレビに出るようになってからは、
「この人は本当に仕事を選ばない人だったんだな~」と感心するばかりです。

鬼軍曹、バカ殿様、エロじじぃ、乞食、子供アクション物の悪者キャラ・・・何でもアリです。
任侠親分、家老、刑事、新聞記者、横溝正史に欠かせない「村の長老」等は得意のジャンル。

中村伸郎(=大学教授)、笠智衆(=隠居)みたいな決まったイメージが全く無いのです。
(高齢者であるという点だけはほぼ一貫しているのですが・・・)

そのため嘉ファンは、ヤクザ映画、戦争映画、アクション映画、サスペンス映画、ホラー映画など、
嘉さんが出ていなかったら絶対に見るわけのない分野の映画も見なければならなくなります。

先日も、TSUTAYAのレジで「トラック野郎」「仁義無き戦い」などといういう映画を借りながら、
「私、いったい何やってんだろう?」と思ってしまいました。

最悪なのは、「にっかつ」と契約していたらしい1960年代後半から70年頃にかけての出演作品群です。
「可愛い悪魔・いいものあげる」「秘・女子大寮」「夜をひらく女の市場」・・・etc.

これって、どう見たってビデオ屋の「別室」に入って探すしかないタイトルですよねぇ。
それに、もしも、もしも嘉さんが変なことしてたらどうしよう・・・

でもコレクション完成の日まで、勇気を出して頑張ります!