開発事業コンペの裏側

住宅リフォームとは関係ないんですが、ニュースになってたのでちょっと業界の裏話を喋りたくなりました。

「神戸市議贈賄側の会社、御影工跡地関連で受注。『コンペ不透明』批判も」

おやおや、これは私も計画をお手伝いしたコンペです。私が入っていたチームは落選したのでこの事件とは無関係ですが、『コンペ不透明』は毎度のことで腹立ってるので、この機会に暴露させてもらいます。

私がお手伝いしているチーム(ゼネコン+開発プランナー+設計事務所などからなるJV)の提出案はいつもとても良くできているのです。建築設計は100年先まで考えた技術を駆使しており、環境にも非常に綿密に配慮しています。デザイン的にもいつも綺麗だなと思っています(これは私の主観ですが)。それでも、精鋭のデベロッパーがついているので、ビジネス的にも成り立つように考え抜かれているのです。そして、自分で言うのも何ですが、私の提出する外構・敷地プランも『おもしろい!』と好評をいただいているようです。

一昨年、大阪は上本町駅近くの大病院跡地に計画された商業施設複合型住宅プロジェクト「○○コンフォガーデン」も、我がチーム全員が確固たる自信を持って提出した自信作でした。ところがなんと我がチームは次点、容積率の条件違反をしていたチームの計画案がダントツ安値で落札しました。

これは審査のやり直しがあるに違いない、と一同期待して待っておりましたが、結局その落札チームが面積修正をしたとかで、プロジェクトはそのまま建設されていきました。数ヶ月前にはもう第一期販売開始の新聞広告が出ていましたっけ。

フツーの常識で考えて、条件違反があったら入札として成り立たないと思いませんか?ジャンプの原田選手だって失格になりましたよね!ヘビー級のボクサーがライト級の試合に出て、勝った後で減量すれば許されるんですか???

しかもこの優勝チームの超安値入札には秘密がありました。オール電化を推進している○○電力の関連会社が入っていたのです。この会社が入ると、必ず赤字覚悟の超安値で入札してきます。なぜか・・・それは建設費で赤字を出しても、オール電化にできれば後から光熱費でモトが取れるからです。これ業界では周知の事実で、このダンピングは対戦チームに「○○ガス」の関連会社が入っている場合に特に顕著になるようです。

続いて昨年、新神戸の駅近くの同じく複合型商業施設開発のコンペ、公共事業です。
http://kouhou.city.kobe.jp/information/2004/12/20041222ga01.pdf
この神戸市の資料にあるB応募者が私の入っていたチームです。

ヒアリング(計画案提出者に対する質疑応答のようなもの)に行った担当者によると「うちのチームに質問が集中し、たいへん好感触!」とのことでした。特に学識経験者からは大絶賛されていたそうです。
ところが、これも驚いたことに0.7点という僅差で次点になっています。しかも客観的に評価しにくい「内容点」で大きく差をつけられて・・・(審査員にはうちが絶賛されてたはずなのになんで??)

落札チームの一員であった超大手ゼネコン○○工務店に強い関わりのある政治家が手を回したそうです。ここでも、落札したチームの事業案は明らかに収支が成り立っていなかったそうですが、まぁ前回のこともあり、再審査は期待しませんでしたが、この不正コンペのおかげで市は相当な赤字を被ったはずです。(後日談:この物件も問題が発覚して新聞等で取り上げられているそうです。神戸の「事件コンペ」に二つも関われて幸せです・・・?。

私は関わっていませんが、りんくうタウンの跡地コンペにも疑問がいっぱいです。レジャーランドが流行らなくて倒産したのに、跡地にまたレジャーランド作るの?ただのバカ?税金を払っている大阪府民としては他人事ではありません。でもそういえば先日も、赤字で困ってる公営温浴施設から800mのところにもうひとつ新しい温浴施設を建ててましたね。「商人の町、大阪」はどこへ行ってしまったのでしょう?

大阪のオバチャン達は皆怒ってます。「太田さんやらエリートはあかん、アタシらみたいな本物の大阪のオバチャンを知事にしといたらええのや!」って西成区の○○さんも言うてはりましたわ・・・

しかし、この物件を落札したDハウス工業の卓越した営業力と経営力を下請業者として間近に見てきた私としては、この勝利は納得できる気もします。

Dハウスがそうだとは言いませんが、談合入札、随意契約、不透明コンペ、出来レース・・・身の回り、こんなことばっかりです。

この業界やめたくなった気持ち、わかっていただけます?