ペンキ塗りたくり

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ペンキ(第一層)が乾くのを待っている間に、ひとつ懺悔をします。

DIYをやっていると言うと「奥さん器用なんやなー」とか「ホンマに好きなんやなー」などと言われることが多いのですが、実は全くの誤解。プロの職人さんを頼むお金がないからやっているだけです。

仕事では「現場第一主義」だったので、自ら職人になろうと思って少し修業したこともありますが、向かないと気づき諦めました。

ズボラなんです。私はトイレットペーパーのロールを替えるのも面倒だと思うほどの不精で、洗濯物も「どうせすぐ着るんやし・・」と思ってきちんとたたまないような主婦。食器洗いも、せっかく食器洗い機を買ったのにそこへ入れることすら面倒で、『先学期の成績が悪かった』ことを理由に息子にやらせています。

ペンキ塗りのための養生(ペンキが飛び散ったら困るところにシートやテープでカバーをする)をするのも面倒くさくて、今日の養生材はちょうど傍らのベッドの上にあったペンキと同色の毛布。(斑点が見つかったら怒られる!)。着ているものもUNIQLOの790円服ばかりだから汚れても惜しくない・・・

DIYを始める大きな励ましになったのは7年間のアメリカ生活でした。
あちらでは、日曜大工で家に手を加えるのはごく普通です。キッチンや風呂等を自分で取り付ける人もいて、ホームセンターへ行くとほぼ住宅に関する全てのものが売られています。
(日本では10~20万円するkohlerのカラーシンクなんかも、2~3万円で売ってるもんね)。

ほとんどのアメリカ人は(日本の基準から見たら)仕事が雑で、日本では器用さ偏差値40~50の私も、あちらでは60~70です。「職人=修業を積んだ人」というイメージではなく、「読み書きもしくは英語ができない→肉体労働」なのです。ですからあちらでは「現場監督のためのスペイン語入門」なんて本が平積で飛ぶように売れています。

私達がアメリカ生活最後に住んでいたアパートでは、隣の隣の部屋に住んでいたメキシコ系のオッチャンが、家賃を払う代わりにアパート中のペンキ塗りを引き受けているようでした。彼は仕事がないときは平日の昼間から中庭でビール片手に上半身裸でくつろいでおり、同じ酒飲みでも北野菊次郎さんみたいな「腕に覚えのある職人」のイメージとは明らかに違っていました。(菊さんは夜しか飲んでなかった!)

壁紙を継ぎ目なく綺麗に張るのは結構大変ですが、ペンキで塗りたくるだけなら誰でもできる。
汚れや子供の落書きがあっても、上からペンキを塗ってしまえばいい。もちろん、日本の塗装職人さんがするような下地作りやサンダーがけなんてしません。ただ上から塗り重ねていくだけです。

だからこのアパートには、それまでに入った入居者の数だけペンキの層がありました。電気配線やスイッチプレートの類はもちろん、時には蚊の屍骸まで塗りこめてありました。(気の毒に・・・)

UC Berkeleyの学生村で管理人の仕事をしていたこともあるのですが、ここの営繕部の仕事も似たり寄ったりでした(州立大学の施設だったので、皆いちおう公務員だったのですが・・・)。たまに日本人が入居してくると細かい部分の仕上げに文句をつけてきましたが、「なんで?」という顔をされるだけでした。

日本でも最近、手作り風のリフォームが市民権を得てきたようで、先ごろ友人が登場した「Smile!インテリア」(主婦の友社)という本でも、この種の「素人ペンキ塗り」プロジェクトがお洒落に紹介されています。

TVドラマ「あいのうた」(玉置浩二菅野美穂)でも、築40年前後と見られる古家の部材という部材を白いペンキで塗りたくったような住宅が舞台になっていましたが、それが窓からふりそそぐ光とあいまって妙に非現実的な美しさを醸していました。

な~んだ、こういうの日本でも流行ってるんじゃない!と安心してペンキを塗りまくっています。

ただ、①過密狭小住宅の我が家の窓には光がふりそそがないこと、②もしも引越しで家を売ることになったときに同じテイストの買主が見つかるかどうか、の2点だけが心に引っかかりますが・・・

ペンキをゴテゴテに塗っておけば簡易防水にもなるし、ツヤ出しタイプなら後のお掃除も簡単、無精者の私にはこたえられません。しかも安上がりです(2980円の3.4リットル缶で6畳一間の壁、余裕)。
ええい、隙間のコーキングも面倒だからペンキで塗りこめちゃえ!(私も結構ラテン系・・・)

学校では「伝統的日本建築の心」「無垢木材の美しさ」を熱く語っている私ですが、実のところ、台所事情はこんなものなのです。ゴメンナサーイ!

いつか定職につけたら、上等の国産ヒノキ無節材を買って大工さんにしっかり鉋かけていただきます!!