内壁の張替え

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築20年で購入した我が家では、3年前の入居時から、一部屋、また一部屋と内壁を引っ剥がしては張り替えています。壁の柄が気に入らないだけなら上からペンキを塗ってしまうのが一番簡単なのですが、家の構造材に耐震補強金物を取り付けたり断熱材を入れたりしようとしているため、こうした大工事になっているのです。

最初の子供部屋は、古い石膏ボードをすべて剥がして構造をあらわにし、リサイクル紙製の断熱材を詰め込み、遮音シート(兼防湿シート)と新しい石膏ボードで防音処理をし、壁と天井の全面に珪藻土を塗り、床は既存床を下地に使い、その上に断熱ボード(9mm厚)とコルク材(5mm厚)を重ねて仕上げました(約3年前)

2番目の和室+台所は壁も鴨居も取り去って一続きの部屋にし、床は段差を馴らし、一面に断熱ボードとコルク材を張り詰めました。床暖房は予算の都合で諦めましたが、これだけでも随分あったかくなりました。壁の断熱材は、前回の紙製のものは硬くて扱いにくかったので、今度はリサイクル羊毛系のフワフワ断熱材を詰め、構造用MDF9mm厚を一面に張上げたところでストップ、天井は仕上げプランが決まらないまま、もう2年も構造材むき出しの倉庫みたいなリビングルームで暮らしています。

MDFは粉々にした木材を圧縮成型したボードで、接着剤も少しは入っています。表面がすべすべなのでそのままの仕上げにもなるかと思って選んだのですが、構造用は色が暗くてまいりました。また切る時に舞い上がる粉塵にも手を焼きました(専用の作業場がないとキツイかも)。ビスがききにくく、また収縮膨張する材料なので目地をとらなくてはならないなど、綺麗に仕上げるのは簡単ではありません。

ちょうどこの頃(2005年夏)に失業してリフォーム予算が取れなくなってきたため、これ以降の壁はすべて桟木も省略、12mm厚の構造用合板を柱に直張りして耐力壁とすることにしました。部屋ごとに壁倍率(耐震構造計算に使う「壁の強さ」を表す数値)が違うというのは家全体のバランスを考えると理想的ではないのですが、リフォームの場合はある程度しかたないと割り切っています。

構造用合板にはいろいろな厚さがありますが、12mmならホームセンターでサブロク板(3x6尺、つまり1820x910mm)が800-1000円程度で買えます。ホームセンター購入のメリットは、一枚単位でその都度買えること(普通の家庭に資材置き場はありませんね)、そして、1カット0円から30円程度で好きな大きさに簡単にカットもしてもらえることです。(長手方向を鋸等で真っ直ぐに切るのは難しいし、丸鋸はちょっと怖いですよね)。

構造用合板の中では、12mm厚がもっとも扱いやすいと思います。9mmだとたわみやすいのでちょっとした下地の不陸を拾ってデコボコになってしまいますし、15mm以上だと女の力で振り回すにはちょっと重たくなりすぎます。材料力学的にも、12mmが構造用合板の中ではもっとも粘性と靭性のバランスがよい(平たく言うと耐震性能が高い)というデータが出ています。(実は私、木材工学研究室の出身で~す)

理想を言えば天井から床まで一枚で張れればよいのですが、サブロク板以上の大きさの板になると、乗用車や軽トラ程度の車で運ぶのも大変ですし、入り口や階段等を通らないかもしれません。女一人で持ち上げて張れるのも、サブロク板が限界だと思います(本当は、2人で作業することをお勧めします)。

昔やっていた昼のリフォーム番組では、やたらと「コンパネ」を使っていましたが、これは構造用合板とは違います。コンパネはコンクリートの型枠用の板なので表面がすべすべで、仕上げのクロス張りや塗装がしやすいというメリットがあるかもしれませんが、そもそもそういう用途で使い捨てにするためのものですから、構造用合板ほどの耐久性や耐水性は期待できません。

私は内装用とはいえ、最も耐水性の高い「特類」を使っています。今時はほとんど皆フォースター(☆マーク4つ)ですから、よほど化学物質過敏性の方で無い限り、接着剤によるシックハウスの問題もないと思われます。無垢材や国産杉合板、Jパネル、集成板、シナ合板、MOISSなどいろいろ検討しましたが、これだけの性能があり、調達も施工も簡単で末端価格一枚800円の板は針葉樹系の構造用5プライ合板12mmより他にありません。

石膏ボードはその半額程度の値段で、しかも施工が簡単(カッターで切れて、張った上に仕上げができる)なのでどこの工務店さんでも使っていますが、廃棄処分する苦労(特別な産業廃棄物処理場に持って行かなければならず、1㎥1万円ほど取られる)を考えるともう使いたくありません。その産廃処理場ももういっぱいですから、石膏ボードのリサイクルシステムが定着するまでは使うべきではないと私は思っています。

構造用合板は表面が節だらけで汚いので、そういった凹凸をすべてパテ埋めしてから仕上げをしなければなりません。私は木チップ入りエコ壁紙の上にペンキ塗りで仕上げていますが、うまく業務用の材料を買い揃えてくれば大変安上がりです。(普通のビニールクロスを張るのは超簡単ですが、この紙系の壁紙は伸び縮みするわ破れやすいわで大変でした!)問題は手間がかかることだけですが、時間があってお金がない主婦のDIYにはもってこいだと思います。

今ある石膏ボードを剥ぎ取らずに表面だけリフォームしたいという場合、一番悩むのは「どこまで剥がすのか?」という問題だと思います。模範解答を言えば「一番表面だけ」剥がすのが理想ですが、これはプロの職人さんにも難しいようです。

霧吹きで十分に湿らせてから丁寧に丁寧に剥がしていけばできないこともないのですが、これはプロというよりは、時間があってコツコツ頑張れるDIY向きです。プロはガンガン剥がしてまだら模様にしてから、その後をパテやら粘着ネットやらでなんとか平滑に仕上げています。