建築教育のありかた?

大学の建築学科等でも、理論やデザインばっかりじゃなくてもっと実務を教えたらいいと思います。

設計はサービス業なんだという職業教育、責任のある専門職なんだという倫理教育等も含めて。
(私の設計演習はいつも「デザインとアートの違いは何?」という問いから始めていました)。

「施主対応論」なんてきっと役に立ちますよ。
お施主様のほうから頭下げてくるような「偉いセンセイ」ばかりでは教えられないと思いますが・・・

Doodlin'の実習科目では、できるだけ「現実のお客様」に登場いただいています。
例えば設計演習なら、実際に敷地と予算を持っているお施主様を対象に、プレゼンに出席してcrit(講評)をしてもらうことを条件に、無料でプランニングを提供するのです。

アメリカでも設計料を支払いたくないと思っているお客様は多いので、結構希望者ありましたよ(苦笑)。

お客様の家に上るときのマナーや話し方から始まって、緊張の連続(←だって何かあったら責任取るのはワタシ)ですが、ひとつひとつのプロセスが、とても勉強になります。

現実の敷地を見ると、地中のパイプやら隣人やら、いろいろと考慮すべき問題も見えてきます。
現実のお客様は「予算」をお持ちなので、コスト意識も高まります。

中には実施設計から監理まで無料でやってもらえるのだと勘違いするお施主様がいて問題になったことも。
(ここでは、Doodlin'が現実の交渉の厳しさを学ばせていただきました)

一度、「家庭菜園が欲しい」という施主のリクエストに、「家庭菜園よりこのほうが家に合っていると思います」と、違う提案のプレゼンを持ってきた学生がありました。

確かにとても上手にデザインされた美しい庭でしたが、施主の表情は見る見る歪んでいきました。
(施主は州警察の黒人女性シェリフで、コ・ワ・モ・テ!)

そして一言、
「客の言うことが聞けないようじゃぁ、この仕事はできないわね」、とピシャリ。

その学生は自信作を前に涙目ウルウルになっていましたが、ひとつ勉強になったことでしょう。



しかし「実務教育」を謳っているアメリカの専門職大学専門職大学院ですら、有名校になればなるほど、こういった現実的な実習は一切行っていないのが実情です。

バラしますが、ハーバードに続いて全米2位の名門と言われているUCバークレーの造園・環境計画学科では、植栽計画は選択科目でしかなく、灌漑施設計画(←砂漠気候のカリフォルニアではこれが一番比重の高い仕事)に至っては、授業科目すら提供されていませんでした。

当然、設計事務所では「バークレーの卒業生は口ばかり達者で何にもできないから絶対雇いたくない!」と言われておりました。
で、卒業生の多く役人や研究者・教育者になるらしいです。怖・・・

中には、現実的な質問をすると怒り出す先生もいました。
聞かれてわからないなら、「知らない」って素直に言えばいいのに・・・

Doodlin'も、バークレー姉妹校の大学で「実務志向」の授業ばかりしていたら、アート志向の学科長に煙たがられ、とうとう昨年クビになってしまったのでした~!