どう解釈してよいのか…

朝の地下鉄で、今まで見たことのない出来事に遭遇しました。

3人掛けの優先座席の真ん中に、明らかに70代以上の年配の女性が座っていました。そこまでは当たり前ですね。そこへ、ダウン症か何かかと思われる20歳前後かと思われる若い女性が来て、そのお年寄りに向かい「座りたいんだけど!」と言ったのです。お年寄りは一瞬ビックリして凍っていましたが、1秒後には席を立ってその若い女性に席を譲りました。

身体はいたって健康そうなその若い女性は、礼を言うでもなくサッサと座り、無心に携帯メールを打ち始めました。厳密なことを言えばそこは携帯電源OFFシートなんですが、全く気に止めていない(おそらく知らない?)様子でした。

私はこの一連の初めて見る光景をどう判断すべきなのかわかりかね、ただただ言葉を失っていました。なぜ彼女は三人いるうちの、敢えて一番年配の女性に席を譲れと言ったのでしょうか?真ん中にいたからでしょうか?

いえ違います。顔を上げていたのがその年配女性だけだったからです。言葉を変えれば、優先座席で寝たふりをする必要が無かったのは、その明らかに年配な女性だけだったからです。何が起こっても動かなかった両脇の若い女性達は,一体何を思いながら座っていたのでしょうか?日頃は高齢者に対して冷たい考えを持っている私ですが、さすがにこの時ばかりは違和感を覚えました。

しかし私の関心はむしろ、「席を譲れ」と主張した障害者の女性のほうにありました。世の中には沢山の「言ってはいけないこと」「思ってはいけないこと」があり、多くの人達がそこで口を噤む、あるいは思考停止させられてしまいます。

この知的障害者の女性は、そういった束縛無しに、素直に発言しただけなのでしょう。ただ、親御さんまたは養護教諭さん、本当にこの方の幸せを願い、社会人としての自立した人生を願うならば、もっと違った育て方があったような気がするのは、いけないことでしょうか?