就職活動(数学編)

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私の勤務先では、ほとんどの学生が大学院に進学して研究者になる道を目指しているので、いわゆる就職活動というものが全く盛んでなく、情報も不足しています。農学部や工学部およびそれらの大学院では、教授の推薦でどこかに斡旋されることが多いのですが、理学部では産業界とのパイプが全くないか、あっても非常に細く、就職は自力でするしかないのです。

「一般企業への就職は落伍者がするものさ」みたいな空気が学内にないとは言えないかもしれません。島津の田中さんみたいな成功例もあるし、お金の心配をせずに自由に研究できる企業も多いのにね。

特に数学は、個人が頭の中で考える学問なので、他の専攻に見られるような「家族」のような研究室制度がなく、教授に就職の面倒なども見てもらえないそうなのです。そこで数学専攻では、修士の段階で研究者になるAコースと就職するBコースに最初から分けています。Bコースは「企業で研究」ではなく、保険・金融関係や情報系の実務家か、あるいは文系就職です。「早々に食べていく道を見つけなさいよ」という教授達の親心でしょうか・・・?

さて、その数学専攻Bコースに在籍する留学生(修士課程)が、今、就職活動に孤軍奮闘しています。彼は日本に永住したいという強い希望を持っています。真正直にあっちこっちの企業にウェブでエントリーして書類落ちして絶望していたので、「もっと紹介とかコネとか使わなきゃダメですよ」と叱咤しておきました。彼は今時の若者には珍しい、礼儀正さと仕事に対する誠実さ・謙虚さを持っています。中国籍朝鮮族で、文化的には完璧に韓流です。時にその真面目さや礼儀正さが行き過ぎて「愚直」になることがあり、心配しています。

中国の最高峰・北京大学の経済学部卒で、会社勤務(秘書)経験のあと、京大に留学してきました。今は、夜勤のアルバイトで自活している苦学生です。中国語・韓国語・日本語がペラペラ、文章力もあります。中・韓はネイティブで、日本語もとても外国人とは思えないくらい流暢です。

そういう人材にご興味がありそうな企業をご存知ありませんか?もし何か採用情報があれば是非お知らせください!

(写真は、初春の鴨川、四条大橋より。本文とは関係ありません)

後日談:この記事がきっかけで読者の方にお声がけをいただき、そのご縁から中部地区の伝統ある化学メーカーさんに就職させていただきました。有難うございました。