国費留学生の願書

世界中の日本大使館を通じて国費留学応募者の書類がドシドシ送られてきます。内容を見て、どの専攻へ回すかの指示を出すのも私の仕事なんですが、中には「?」なのものが・・・。

「その分野はウチではやっておりません」他の学校をお勧めすることが半数以上です。しかもご親切に照会先の他大学のリンクを貼り、コンタクト先まで調べてあげますが、院生レベルなら、せめて応募先の研究内容くらいちゃんと調べてから応募してほしいです。中にはたまたまメールアドレスがわかったからという理由だけで希望担当教官を選んでくる人もいます。そういう応募には、「なぜ私の研究室に来たいのかサッパリわからん」と教授が気を悪くされます。あまり「困ったちゃん」な応募者は、勝手ながら私がスクリーニングして止めさせていただいてます。お忙しい教授にあまり無意味な応募書類を読ませて時間を浪費させると、私が怒られますから。

先日も研究計画がいまいち曖昧で、「日本に来たい」旨を延々と述べている志望動機がありました。「理系の場合、研究内容が第一です。日本や京都に来たいことを述べるのはあまり得策ではありません。特に京都に来たいという留学生は多いですからね。」と親切心からアドバイスしてあげたら、「京都なんか、暑くて、ちっとも良い所なんかじゃない!!!」と逆切れしてきたので、「コイツ、このままシカトしたろか・・・」と思いました。

「研究計画」や「志望の動機」を読んでいると、添削しようもない誤字だらけの幼稚なものから、「是非来てください!」と思ってしまうような優秀そうなものまで本当にピンキリです。みんな一応、各国の日本大使館の一次試験を通ってきている応募者なんだけど・・・。国によって選考レベルがこんなにも違うのか、だとしたら不公平だなあ、と思います。

皆さん合格すれば一律に、日本政府の負担(=私達の税金)から、学部生月15万円、大学院生月18万円という高額な奨学金が支払われます。大卒の初任給でももらえるかもらえないかの額で、しかも無税。おまけに授業料も全額免除です。日本への往復航空券も支給されます。今は廃止されましたが、以前はビジネスクラスの航空券を出していたのです。(注釈:後日、留学生30万人計画に伴う受入拡大政策のため、一人当たりの奨学金は学部生月12万円、大学院生月15万円に値下げされました)

今日も日本のいくつかの私学が難民を積極的に受け入れているというニュースをやっていましたが、途上国からの留学生を積極的に受け入れるという国際協力的な配慮も、必要だとは思います。でも国費留学生には大学独自の入試を課すチャンスがないので、特にウチの学部などの場合、学力レベルが違うために研究室の足手まといになってしまうことも、たまにあるみたいなのです。ウチではあり得ませんが、他大学では、「国費留学生にはとにかく期間中に何が何でも学位を取らせてやる」なんてこともあるようです。そんな特別扱いをするのはおかしくないですか???

国際貢献しようにも、研究成果が上らなければ、留学生の時間と私達の血税が無駄になります。(こう書きながら、自分の責任の重大さに改めて気づいて汗ばむ私・・・)

学部生レベルの応募書類はもっと面白いです。ほとんどの人の応募動機に書かれているのが、下記の2点。

  1.アニメなどの日本文化に非常に興味があるので、日本で学びたい  
  2.ノーベル賞受賞者を多数排出しているので、この大学で学びたい

1番と2番がどう繋がるのか、是非とも面接に呼んで詳しく聞いてみたいところですが、
しかし学部生レベルの場合、協定校からご依頼の学生さんは、書類だけでほぼ100%受入れしています。

そして、彼らの担任になるのは、この私です・・・(ToT)