語学を生かす仕事?

できない人には「スゴ!」がられるわりに、意外と喰えないのが語学関係の特技です。「道でガイジンに話しかけられたときに怯えないですむなんて羨ましいです」って?そんな小さな幸せより、私は正社員の給料が欲しい。

派遣会社や人材登録会社へ行くと、語学堪能な30代以上の女性がゴロゴロ余ってます。それもTOEIC満点とか外国の有名大学の修士もちとかいった、半端でない武者達が・・・。「フリーランスで仕事できていいじゃない!」と言われるかもしれませんが、この方達には、正社員と互角に語れるような待遇の仕事は滅多に訪れません。

私も若い頃、留学中に困ったときのアルバイトにと思って「翻訳技能検定」2級を取ったところ、すぐに翻訳会社から「登録しませんか」とのお誘いがあり、すぐに仕事もどんどん入ってきました。でも忙しい時は徹夜続き、無いと突然ヒマ、平均したら稼ぎは小遣い程度(うわっ設計に酷似!)。ビジネス書類や技術文書でこれですから、文芸翻訳なんてほとんどボランティアじゃないでしょうか。

通訳も「同時通訳は時給5万円」なんて聞くと「おお!」と叫ぶ人がいるかもしれませんが、その1時間の裏には最低8時間、下手すれば何日もかかる下準備・下勉強(無給)が隠されています。私は同時通訳はできない「ニ級通訳士」だったのですが、逐次通訳でも1時間で一日分疲れます。同時なんて、5分で髪が真っ白になりそうです。だから、しょっちゅう交代してますよね。

会社帰りに同時通訳養成学校に通ってみましたが、この仕事が半端でないことを思い知らされました。そこでは、帰国子女や長期留学帰りなど既にペラペラの人達が、さらに猛勉強しているのでした。おまけに日本を代表する現役通訳者の先生方に、武勇伝ならぬ恐怖体験談を山ほど聞かされ・・・。とにかく勉強が大好きで、しかもスリルをを楽しめる心臓の強い人でないと向かない仕事のようです。

「通訳ガイド」が難しいワリには子持ち主婦には喰えない資格であることはすでに述べました。「泊まり不可・定時帰宅希望」ではとても勤まらないからです。ちょっとレベル下げて、海外旅行のツアーコンダクター。これも24時間体制の激務のようです。非正社員の登録・派遣が多くて、日給6,7千円だとか・・・。なんと、植木屋と並ぶ低日当じゃないですか!

旅行好きなら、どこかに就職してボーナスもらって自由に海外旅行するほうがよほど楽しいんじゃないですか?ガイドやコンダクターは、語学を生かす仕事というよりは「大人相手の保育士」です。遊びの観光客相手ならまだ気楽でしょうが、伝統建築専門だと訪問先にも気使い疲れで、もうヘトヘト。こういうサービス業は、世話好きな人より所詮は仕事と割り切って流せる方のほうが向いています。

ドイツ語に堪能な女性派遣社員が年収200万円からさらに賃下げされるドキュメンタリーも見ました。要するに、語学フリーランスは使い捨ての道具なんですね・・・もしこの方がどこかの大企業の社員だったら「ドイツ支社に赴任→出世コース」だったのでしょうに。もしかしたら「社の経費でドイツに無料留学!」なんてオマケまでついていたかも。

語学を生かして喰いたいなら、20代のうちにどこかの正社員にキチッと納まっておくことです。自分でスキル身につけようなんて下手な考え起して留学なんかしてると、婚期を逃します。そして一度フリーランス歴がつくと、正社員への転職はかなり険しくなりますから要注意です。

旦那の会社(中小メーカー)では、社長と旦那以外に英語のできる人がいなくて困っているようです。で、海外営業部で語学の堪能なパート社員を募集してるというので聞いたら、なんと時給800円。

はぁ?

申し訳ありませんが、それなら私はもっと気楽なパートに行かせていただきます。