素晴らしい美術教育

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1年以上学校のロッカーに放置されていた愚息の絵画を引き取ってきました。6号キャンバスくらい自分で持って帰れよ!と怒りながら・・・

絵自体は子供らしい漫画みたいなものですが、妙に色使いが大人っぽいので訊いてみたところ、授業のスケッチブックを見せてくれました。先人の作品をあれこれ勉強した上で製作したもののようです。「図工」「美術」といえばただひたすら作業していればよい「自習時間だよ~ん♪」かと思っていましたが、「教えることもできるのか!」と感心しました。美術史もそれだけ取り出して勉強させられたらタイクツ極まりない「睡眠の時間」になりますが、製作と関連付けて習えば、結構楽しいです。

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印象派の画家の様々なタッチを練習。「真似」から入るのは何の学習にも有効です。日本では「自分の感性でご自由に」とか「見て覚えろ」という伝統がありますが、それは才能のある人にだけ通用すること。一般人は、どうしてよいのかわからず、わからなければ興味を失っていきます。ここでは、絵を描くという作業を通じて、ものをよく見て分析する眼を養っています。美術に限らず、何についても役立つでしょう。

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こんなふうに体系化して習ったことは、自分は一度もありませんでした。受験用の美術研究所では、子供心にも「はぁ~?」と思われる指導ばかり受け、嫌気がさして早々に辞めてしまいました。授業料免除生なのにもったいなかったですが。デザイン学校はもう少しマシでしたが、それでも日本の学校はとにかく作るだけ。指導者としてのプロ意識が足りないのでは?いくら賞とってたって、ちゃんと学生に教えなくてはダメですよ。

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これは、絵の中で使われている色を分析し、自分の絵に用いるという課題だったようです。この他、有名作品の構図を分析したり、自分が描きたい題材についてリサーチしたり、準備にかなりの時間を費やしていました。美術や音楽は「得意な人だけがやればよい」というような科目では決してありません。芸術に無知・無関心な人がこんなに多いから、町がこんなことになってしまったのです。小・中・高は責任重大です。

追記: この先生の教材は、理論を教えるとか学習させるといったものではなく、初心者でも手を動かしながら基本的な考え方を自分で会得できるように考えられています。生徒の発想の自由を縛るような方法ではないので、誤解のないように書き添えておきます。