職業訓練校の思い出

随分前に書くとお約束していながらずっと忘れていた話です。私は職業訓練校を2週間で中退したという前科があります。私が入ったために合格できなかったお一人の方には申し訳なく思いますが、私が行ったグリーンエクステリア科というのは、どうしようもなく意味不明な学科でした。願書を出す前に、「なぜ素直に造園科と呼べないのか?」という点に疑問を持つべきでした。

中学卒の若者が多い他の科と違い、グリーン科は定年退職者やリストラされた中高年ばっかり。私には関係なかったですが、雇用保険加入者はここに通っていると失業保険給付が延長されます。

でもそのワリには若年者向けの規則(→子供扱い)が適用されるんです。9時から5時までは原則として外出禁止、昼休みに用事で外へ出る場合は教官の許可証が要ります。作業服や道具の一式も買わされたのですが、それが何故か植木屋では使わないタイプのものなんです。「おかしいな?」と思っていたら、なんと先生方が素人だったのです!3人の年季の入ったオッチャン風の先生方、ベテランの庭師さんかと思ったら、そのうち2人は、ほんの2~3年前にここを卒業した人だそうじゃないですか!えぇぇぇ!!!

もう1人の「主任教官」も、長年、知的障害者に園芸を教えて来られたという方で、「造園業のことはわからない」と明言し、実際に「サンダー」の意味もご存じありませんでした。「表面を削るもんやろ?」とか仰ってましたけど、ちがいます、外構・造園ではブロック等を切る道具です!

初日の授業は、終日8時間、葉ボタン苗の植え替え。(そのくらい誰でもできますよ~!)2日めの授業は、終日、切りくずを粉砕機に放り込む練習。(練習する必要があるの!?)3日めの授業は、終日、大きさの違うレンガの仕分け。それがいちいちメジャーで測らされるんです。(突き合せて見たら一目瞭然じゃないの!?)

極めつけは講義。終了30分前に先生は話すことがなくなってしまい、チャイムがなるまでの30分間、先生も含めて全員座ったまま沈黙の時を過ごしました。おいおいおい・・・こんな授業風景、さすがの私でも生まれて初めて見ましたよ。職業訓練や精神修養に「辛抱」はつきものですが、これはちょっと度が過ぎやしませんか?皆さん平気そうでしたが、もしや会社等の「肩たたき」で同じような目に遭っていたのでしょうか?

外出禁止といい変な制服といい、まるで刑務所でした。いや、刑務所のほうが、食事も出るし、もうちょっとマシな技術を教えてくれるのとちゃうか?いくら授業料がタダでも、これは給料(失業保険)でも貰わないことにはやっていられません。「今度は短気を起してはいけない」と正味10日間我慢しただけでも褒めてやってくださいね・・・(↑過去にすでに一度中退歴あり)

「就職が見つかったから」と言う理由で円満退学し、例のM庭園に逃げるように入社した次第です。そこでこの学校の卒業生と出会って聞いたのですが、6ヶ月通っても特に何も学ばなかったそうです。しかも、ここを卒業して実際に造園会社に就職したのは、20人中、その方1人だったそうです。それじゃ何のための職業訓練校???後で造園業組合のオッサン達に聞いたら「そら、あんなとこ行ったかてあかんわ。ぶわっ、はっ、はっ」と一笑にふされました。地元で世間知らずなのは私だけだったようです。

所詮は「趣味悠々」や「定年後の自分探し」あるいは雇用保険のバイト代わりの学科だったのですね・・・案の定、その学校は「税金の無駄遣い」とのことで避難を浴び、翌年廃校になりました。チャンチャン。もっと実のありそうな建築科(大工養成科)か自動車整備科にしておけばよかったよぉ~(涙)