生き方の選択(ディープな京都番外編・西村家)

イメージ 1

イメージ 2私の好きな京都上賀茂の西村家庭園
本日より来年の3月15日まで、冬休みに入りました。

(写真は2002年夏に撮影)

今年はとても悲しいことがありました。

長年、こちらで管理人をされていたKさんが、
9月6日に亡くなったのです。

81歳とのことでした。
(もっとうんとお若いと思っていました)。

昨年末にお見舞いにうかがったときには、
もうすぐ退院できるとおっしゃっていたのに…

Kさんは、元々は500名もの社員を擁する、
工場をいくつも持つ会社の社長さんでした。

身体を壊して胃の全摘手術をされたのをきっかけに
仕事を辞め、西村家の管理をされていたのです。


もともと「歴史も建築も造園も何も知らなかったので、一から独学した」とおっしゃっていましたが、
研究熱心な方で、本当に微に入り細を穿った解説は、専門家が恐れ入るほどでした。

Kさんの解説に感動して以来、京都に訪れる方々は必ずここへご案内していました。
だから私の説明は、全部Kさんの受け売りなのです。

昨年も入院される直前まで、上賀茂と徳川家の関係について調べておられ、
とても嬉しそうに新しい発見のお話しをされながら、資料をコピーしてくださいました。

そういった意味でも、まだ少し心残りはあったかもしれませんが、
美しい家と庭を眺めて過ごし、訪れる人々に感動を与え、充実した余生を送られたことと思います。

オーナー社長だったのですから「組織の上に君臨し続ける」という選択肢もあったかもしれませんし、
長年戦ってこられたビジネスの世界からの思い切った転身には、ためらいもあったかもしれません。

でも、何もかもスッパリ捨てて第二の人生を歩まれたKさんに、私は大きな拍手を送りたいと思います。
お疲れ様でした。そして、本当にありがとうございました。

しかし私にとっては、京都の宝物をひとつ失ったようなものです。
私はKさんの親戚でも何でもありませんが、気持ち的には喪中です。