ブロンドが・・・

「ブロンドが金網をよじ登っているよ、何のために?」
「向こう側を見るために!」

アメリカで聞いた数多い人種ジョークのうちでも、特にお気に入りの一話です。

イメージ 1

ここでブロンド(金髪)は「頭が弱い人」の代名詞として引用されているわけですが、
ブロンドの方が他の髪色の方より知能が低いなどというデータはどこにもありません。

先進国として知られる北欧やドイツ・スイスなどの国にはブロンドが多いですし、
私が大学院でお世話になった女性教授も二人ともブロンド、しかも美人でした~!

一人は、アメリカで最初に大手組織事務所の女性経営者となった建築家キャシー・サイモン, FAIA、
もう一人は、ハーバードとUCBのランドスケープ学科長を歴任する業界の重鎮リンダ・ジュエル, FASLA。

肩書きの前に「F」がつくのは、特に功績の高い人だけに与えられる名誉称号(Fellow of~)です。

「美人なことを利用して出世した」なんて陰口を言う人もいましたが、
お二人ともそんな噂は意にも介さない様子で、堂々と仕事をしておられました。

ただ、アメリカにも若いアイドル・スターというジャンルがあり、そのほとんどが金髪。
ある種の共通イメージを売り物にしていることは事実です。

イメージ 2

まあ、私達が必死に高価な金銀のアクセサリーで着飾ろうとしているのを横目に
彼女達は頭に天然のゴールドあるいはプラチナをつけて輝いているわけです(しかも無料!)。

「美しい」と素直に認めてよいと、私は思います。
(どんな色の服でも合わせやすそうで羨ましいな~)

黒人が多いと思われがちなアメリカのジャズ・シーンでも、
ブロンドの歌手のほうが男性客の入りが多いのは否定できない事実でした。

日本人にも最近はブロンドの方が増えているようです。

2002年に帰国したときはどんなに驚いたことか・・・
(私が中学生の頃には、ちょっと茶髪にしただけで学校中で大騒ぎされたものです)

写真のパリス・ヒルトン(ホテル王の令嬢・背の高いほう)はたぶん本物だと思いますが、
二コール・リッチー(ライオネル・リッチーの養女・背の低いほう)は染めているような気がします。

ひと昔前は、赤毛を公然と卑下するような文学もあったようですが、
現代のアメリカでブロンドを美しいと公認することは人種差別にもつながります。

「いいな」と心で思っても口には出せないという事情もあり、非常にビミョーな扱いです。

かつての日本にも「巨乳の女性は頭が悪い」「美人=馬鹿」といった固定観念がありましたが、
それに近い「面白半分の偏見」と考えれば、ブロンド・ジョークは理解できるかもしれません。

(昔、バカでないことを証明するために京大に入学してしまったFカップのAV女優さんがいましたが、
何もそこまでムキにならなくても・・・と思いました)。

イメージ 3
先日のミスユニバース世界大会の上位5名です。
ブロンド2名、ラテン系2名、アジア系1名(日本)という配分になっています。

公的に人種差別撤廃を推進しているアメリカで開催されているのですから、当然ですね。

でも黒人が一人も入ってないのはマズイんちゃうか・・・
NAACP(全米黒人地位向上協会)が黙って引き下がるのかな~、と他人事ながら心配。

トップ10にはトリニダード・トバゴ代表のとても知的でエレガントな美女が入っていましたが、
ミスUSAやアメリカ合衆国大統領に黒人が選ばれるには、まだまだ長い道のりがあるようです。

でもアメリカでは、子供番組やセール・チラシのモデル等に必ず全人種を入れるように配慮しています。
なぜか白人が多い日本のモデル業界は、とっても不思議。

「世界中で美の基準も価値観も違うのに、いったい誰がどうやって公平に審査するのよ!?」
と旦那が隣で怒ってましたが、(←ウルサイね~、科学者は)

審査員はほとんどアメリカ人でしたから、アメリカ人の価値観で選んだのだと思います。

「腕力以外に男女の差は無いと思っています」
とキッパリ言い切った日本代表の知花くららさんは、
その日本女性らしからぬ(?)意外性も手伝って、非常に受けがよかったみたいです。

お肌見せ見せのサムライ・コスチュームで日本刀を振り回した民族衣装審査では、なんと一位でした。
(あ、あれは日本の民族衣装ではないぞ~!)

この方、よく見ると絶世の美女ではないのですが、努力と研究と個性で作り上げた美貌という感じ。
顔の作りだけを見がちな日本の基準と違って、いかにもアメリカらしい好みだと思いました。

英語のスピーチマナーはもうひとつでしたが、まだまだお若いし、これから飛躍されることでしょう。