マダムv.s.ボス猿

就職活動していた大昔、強烈な印象を残した会社がありました。
関西系の大手(?)設計事務所で、学習塾や農園なども経営しているあそこです。

京都の某国立大学でバリバリに学生運動のリーダーをしていた方が社長で、
会社組織も変わっていて、入社2年目以降の社員全員に、利益を公平に分配するというのです。

だから設計事務所にしては給料がよくて、当時は年間ボーナス8ヶ月以上と聞きました。
欲の塊だったDoodlin'は、当然それがお目当てでエントリー。

2年目以降の社員は全員「役員」扱いで、会社の経営はすべて合議制で進めるという社風にも、
水平志向のDoodlin'の心をくすぐるものがありました。

採用もコネなしの実力主義、入社試験は8時間の「地獄のデッサン」と聞き、
そっちのほうだけはめっぽう自信があったので、「よしっ、これだ!」という感じで応募したのです。

説明会会場に出向くと、いきなり社長(創業者)が登場し、演説を始めました。

「バカ主婦とバカOLどもが今の日本をダメにしている!」

あれれれれ、何の話・・・?

要は、勤労の大切さを説く話だったと思うのですが(社長さん、もし間違ってたらゴメンナサイ)、
もうなんだか最初から怒っている口調でした。

左右こそ逆ですが、そう、ちょうどあの○○都知事さんみたいな感じ。

そこまでならまだ良かったのですが、私の頭にカチンと来てしまったのが、

「人間の集団はそもそもサルの集団であって、強い一匹のボス猿に群れ全体のメスが従うものである。
従って、当社の女性社員は全員、会社と結婚したものと考えてもらう」

という理論でした。

えぇぇぇーっ! ということはつまり社長さん、アナタの女になれということ?

私は当時すでに一夫一妻制にのっとって結婚していたので、この理論だけは承服しがたいものでした。
だいたい人間は、動物みたいに本能で動いているのではありません。

社長の演説が終わり、「何か質問はありませんか?」と聞かれたので、Doodlin'は即、手を上げて、
「御社の女性社員も皆バカOLさんなのですか???」と聞いてしまいました。

「あなたは当社には合わないようです」とつまみ出されてしまったことは言うまでもありません。

・・・・・

私も正直、「豪華ランチ、デパ地下買物しまくり主婦」や「遊びまくりOL」を見ると僻みますが、
それは実際に目につくので多く感じるだけで、実際はごく一部の方達なのだと思います。

専業主婦でも、「私の人生はこれでいいんだろうか」と悩んでいる人はいっぱいいます。
本当に驚くほどいっぱい!

家事・育児・介護等で社会貢献しているにも関わらず正当な評価がされないので不安を覚えるのと、
年齢が進むにつれて職場復帰が不可能になっていくことへの不安が、共通の悩みです。

独身で自由になるお金がいくらでもあるにも関わらず、贅沢はいっさいせず、弁当持参で真面目に働き、
将来のために貯金をしたり勉強したりしてる若い女性も、実はビックリするほど多いのですよ~。

ちなみに私がフイにしたボーナス8ヶ月の設計事務所、今でも躍進を続けているようです。
説明会でアホなツッコミさえしなかったら、私の人生は随分ちがっていたかもしれません。

残念ながら私はそこの事務所とはその後ご縁がなかったのですが、一緒に仕事をした同僚の話では、
「超真面目な技術集団だよ。仕事もキッチリするし・・・そんな変わった会社とは全然知らなかった」
とのことでした。

そういえば「24時間体制で働けるよう、会社から徒歩15分以内の場所に借り上げ社宅」だったな・・・。
女性社員も平等に借り上げ社宅がもらえるようですよ。

バイト先の大学にも求人出してくださってます。
純真で独身で上昇志向の学生さんには、良い就職先だと思いマス。