アメリカの猿真似はもうよそう

ホワイトカラーエグゼンプション」を導入するか否かの議論が出ているようですが、
私は非常に危惧しています。

真面目で責任感の強い人が多い日本社会でこれをやったら、過労死がもっと増えますよ。

「フレックスタイム」につられて賛成しちゃダメです、専門職労働者の皆さん!
フレックス制なんて、残業代カットしなくたって、その気になればいつでもできるはずです。

確かにアメリカではもっと自由で、1日10時間・週4日働いている同僚もいたし、
私も週20時間しか働かずに、ちゃんと正年俸の半分をしっかりもらっていた時期もありました。

でもその自由は、exemption(例外)でなくても、つまり時給雇いの労働者でも、同じことでした。

年俸で雇われるのは「専門家」の証。
年俸で雇われる以上は、(原則は)自由裁量だし、残業代も一切つきません。

でも、それはサービス残業をしなくても良い、真に「自由裁量」の社会での話です。
有給もろくにとらせてもらえない社会で、「お先に」って堂々と帰れますか?

アメリカでは、子育てしながら週2回だけ働いている専門職の女性も沢山いたし、
午前中だけのハーフタイム勤務でもちゃんと保険・年金がつき、パートタイムの保育園もありました。

日本では、「講義している時間しか勤務証明は出せません」と言い張る大学の庶務課と、
「必要時間数の勤務証明がなければ保育園には入れられません」の一点張りの市役所の板ばさみ。

(ああ、また契約更新の嫌な季節が・・・)

私の友人には女医さんが多いのですが、「フルタイムで働いてないと保育園に入れないから」と、
夜勤当直つきの激務の中で子育てをしていました。

看護師さんも、夜勤明けで昼寝する時間は市役所的には勤務時間と認められない、って話も聞きました。

アメリカでは、目の前で苦しむ私(患者)を置いてサッサと定時に帰るお医者さんもいました。
喘息発作で受診したとき、「どの薬が欲しいの?処方箋何でも書くから早く言って!」だって・・・。

上司ににらまれても、同僚が困ってても、お客様が目の前でわめきちらしてても、アナタは帰れますか?
アメリカ人は帰ります。(あるいは、自分で心から望んで、そこに残ります)。

それにアメリカは、職場が合わなければいつでも転職できる社会です。
35歳過ぎたら転職不可、みたいな日本とは根本的に違うのです。

だいたいこの新しい制度、雇用者側はもろ手を挙げて賛成しているってあたりが怪しいじゃないですか。

企業と政治家の口車に乗ったらあきまへん。