ふるさと (1983こぶしプロ)

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第三弾でいきなり真打登場で恐縮ですが、主演作「ふるさと(1983)」です。

嘉さんは約350本の映画(テレビや舞台を入れたらもっと)に出演していますが、
ほとんどが登場時間の非常に短い脇役。

でもこの映画でいきなりモスクワ映画祭最優秀主演男優賞とってます。(当然!)

嘉さん演ずる老人と孫とのほのぼのとしたふれあい、この上なく美しく撮られた野山の風景が、
人々の故郷をダムの底に沈めてしまうということの残酷さ、悲しさを改めて考えさせます。

(この村でのダム建設と村民の立ち退きは、実話です)。

しかし、ド田舎のボケ老人をこれほどハンサムに演じられる俳優が他にいるでしょうか?

笠智集(都会っぽすぎ)でも、宇野重吉(クセありすぎ)でも、中村伸郎(知的すぎ)でもなく、
加藤嘉でなければできない、一世一代のはまり役だったと思います。

嘉さん、本当は慶應出の都会っ子で、このロケ中も「東京に帰りたい、ホテルに泊まりたい」と
ワガママを言って付き人を困らせてたそうですけど、映像を見ていると田舎の爺ちゃんそのものです。

(1983年、神山征二郎監督、こぶしプロ)