武家屋敷(旧喜多家住宅)


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日本で二番目に古いスギだという「鉾杉」(樹齢800年)を見たいというリクエストにお応えし、すご~い山道を上って行ったところ、お隣にこの武家屋敷(旧喜多家)がありました。

辺鄙な場所なので期待していませんでしたが、想像以上に良い状態の立派なお屋敷でした。竹下政権の「ふるさと創生基金」で解体修理し、平成2年にこちらへ移築したのだそうです。悪名高かったバラマキ1億円の、珍しく正しい使い方ではありませんか!

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築250年、移築前はもっと大きな家だったそうですが、今でも十分に大きく(祖谷地区最大)、家全体を覆う巨大な寄せ棟の茅葺き屋根が、外から見ても中から見ても圧倒的です。

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補助金が無くなったらほったらかし」になる不幸な古民家の多い中、こちらは昨年、三好市の独自予算で屋根の葺き替えをしたそうです。

エライ!

とはいえ市の予算では全面葺き替えは無理だったようで、傷みがちな日陰の2面だけでした。新旧の茅葺きを上手に馴染ませていますが、工事の効率を考えるともったいないですね…

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内部にも、都市部の町家とも山奥の農家とも違うディティールが沢山あり、面白いです。奥の部屋に、古いお道具の展示もありました。解体修理・移築してからしばらくは、市の来客の宿泊や会合に使っていたそうです。そうやって活用していたからこそ、そして今でも管理人さんが毎日いるからこそ、状態が良いのです。

トイレや調理室などは近代的設備にしてありますし、見学のみではもったいないですね。最寄りの街道から、細く険しくガードレールの無い山道4.5kmは、かなりの運転力を要しますが…。相当量の部材の取り替えをしたためでしょうか、文化財等には指定されていません。しかし、十分に見応えのある、行く価値のある家です。

話好きのほがらかな管理人さんのご説明も聞けて、立派なお家の清潔な部屋や軒下でホッコリできて、見学料300円は、大変お値打ちでした。前日にたまたま引っ掛かった西祖谷(東祖谷ではありません)の「平家屋敷・民俗資料館」は、説明があるわけでもなく、なんだかわけのわからないガラクタ屋敷的なところで、500円も取られましたので、「三好市さんもこの程度のものを市の文化財に指定して、困るなあ・・・」と思いつつ、歴史より現在の建物の私は、前日以来、「◯◯屋敷」に懐疑的になっておりました。しかしこの旧喜多家住宅のほうは大当たりでしたので、少し胸がスッとしました。4月~11月のみの公開だそうです。

(平成23年8月19日訪問)

今回は行きませんでしたが、文化財課に問い合わせたところ、祖谷地区、国道(といっても狭!)439号線沿いには、他にも下記のような古民家がありました。

ちいおり(←漢字が出ません)、別名アレックス住宅 アメリカ人が住んでいるらしい)現在解体修理中で、来年春より訪問・宿泊受付予定だそうです。解体中でも見学させてくださいと粘ってみましたが、ダメでした^^;

木村家住宅(重要文化財):ちいおりと近いので、今度まとめて両方行ってみようと思って今回はパスしましたが、木村さんが居住中で、茶店を営業しており、頼めば中を見せてもらえたかも、とのこと。しまったー!

旧・小釆家住宅(重要文化財):中を見たければ、市の文化財課(TEL0883-72-3910)に予約してください、とのこと。