酒をたしなむ・海外事情

「日本ではスーツ姿のビジネスマンが酔っ払って外を歩いていますよ」と外国から来られる方には注意しますが、ま、男女問わず、人前で酔うのは国際社会の目からすれば異常なことだと、肝に銘じておくべきでしょうね。

酒に飲まれるような心の弱い人や、自分の健康管理すらできない人でも高い地位に上れるのは、おそらく日本だけのありがた~い風習でしょう。アメリカでは、そんな失敗を一度でもしたら、言い訳無用、社会人失格・業界追放でしょうな。タバコを吸ったり太っていたりするだけでも「教養の無い人」と言われます。

屋外を含む公共の場での飲酒が原則禁止されている州が多いだけでなく、飲食店や販売店も厳しく、酒を買うたびに身分証明書を提示させられ、年齢確認です。飲まない人も多いし、飲んではいけない宗教もあるので、ノンアルコールのパーティも珍しくありません。飲むとしても、公のパーティ等では、グラス一杯程度、乾杯程度でやめておく人が多いですね。

もっとも、車を運転して帰ることが許される限界がそのくらいなわけですが、そもそもお酒は味わうためのものであり、酔うために飲む人は少ないのでしょう。(ワタシ的には、「酔って味がわからなくなったらお金もったいないじゃ~ん!」と思いますね。)

酒に厳しいアメリカ社会へ来てしまい、困惑するのがヨーロッパの人々です。彼らは、国にもよりますが、10代の頃から普通にワインを飲んで育ってますから。一度、大学(ワイン学科がある)の試飲会に家族を連れで来ていたスウェーデン人の教授が、18歳の息子さんには飲ませてもらえないことを聞いて、「何やと~?」と気色ばんでいました。

イタリアでもフランスでも、ワインは水やお茶と同じ。ランチのときでも皆さんグラス一杯頼みます。でも、その程度で酔っ払っている人は一度も見たことがありませんけどね~(体質ですね~)

メキシコでは、乳幼児等も含め、大家族で連れ立ってバーに行くらしいですね。「何歳から飲んでいいの?」と聞いたら、「コップが手に持てるようになってから」だそうです。

韓国の方もお酒にはめっぽうお強いですが、「ロシア人には叶わない」と聞いたことがあります。「ウォッカをあおりながらの商談でも、彼らは決して数字を間違えることはない」のだそうです。

礼儀正しい韓国の方は、年上や目上の方より先に飲むことはしませんね。また目上の人の前では、飲むところを手で隠すのが礼儀ですが、私はそのマナーを知らず、年配の方の前で堂々と飲んでしまい恥をかいたことがあります。

さて、中国が面白いです。

ある留学生は、「絶対にお酒を飲んではいけないと故郷の母からきつく言われている」そうです。「日本人の友達と出かけても、あなただけはソフトドリンクを飲みなさい」と毎日電話で念を押されるとか。

ところが別の留学生は「私は小さな子供の頃から親と一緒にお酒を飲んでいました」と言います。横にいた中国人女子数名が「うちもそうです」とウンウンうなずいていました。

彼らは同じ町の同じ学校の出身です。おそらく同じ民族でしょう。飲酒を規制する法律が無いため、それぞれの家の教育方針に任されている模様です。

でも、もし外食中に誰かが酔ってしまったら、すぐにタクシーを呼んで家に連れて帰るそうです。中国文化においてもやはり、人前で酔うことは「極めて恥ずべき醜態」なのでしょうね。