米国大統領選挙に思う、母親の気持ち

同い年の女性が米国の副大統領候補になり、複雑な気持ちなんですが(なんで比べてんだよ)、このサラ・ペイリン氏という方、話を聞けば聞くほどわかんない。どうしたら、生後4ヶ月のダウン症の赤ちゃんを抱えて、副大統領なんかを引き受けようと思えるのか?そして有権者はどうしてそういう人に、州知事だの副大統領だのといった重責を平気で任せられるのか?しかもこの方、17歳の高校生で未婚妊娠中の娘さんもいるっていうじゃないですか!!!「まずご自分のご家庭のことを・・・」と言いたくなっていた私に突きつけられた、衝撃の世論がこれ。


一方、妊娠したティーンエージャーがいるという事実により、ペイリン氏の家庭が普通であることが示されたとみる有権者も一部にいる。「これは米国全体で起きている問題。人々は彼女と自分とを重ね合わせると思う。人々は自分と似ている人に投票したいものだ」

えええーっ、それって普通なんですか!!!

百歩譲って「普通」なんだとしても、「気持ちがわかる」ってだけじゃ仕事にはならんでしょう?ちゃんと政治家としての経験と能力がないと。何十年も政治に命かけてきたヒラリーと自分を同じ「女」のひとくくりにしてるのが厚かましい・・・。

私は選挙があるたびに頭を悩ますのですが、この「同じ目線」思考だけはどうしても理解できません。
自分と同じようなダメ人間に大事な政治の仕事をまかせようとは、私は思いませんから。「ダメ人間」って言ってしまいましたけど、やっぱりダメですよね、高校生を妊娠させる親は?私がもし同じ立場だったら、わざわざそんな公の場に出て娘の恥を全世界にさらしたくないです。ダウン症のお坊ちゃんをしっかり抱っこしたりなんかして支持者にアピールされているようですが、そのうちそのティーン妊娠してる娘さんも、大きなお腹で選挙運動に駆り出されるのでしょうか?

でも確かに米国では、「複雑な」家庭のほうが圧倒的に多いのは事実です。誰も、少なくとも問題の当事者である親達は、それをダメだと感じていないようでした。10代のシングルマザーとかが学部生の中にも少なからずいたし、彼女らは全く悪びれていなかった。しかしどこの社会でもいつの時代でも、家庭が複雑だと子供の顔が暗くなるのは同じなんですよ。

話戻して、こういう、私の基準から言わせれば「飛んでる」(←古!)主婦であるペイリン氏が、なぜ「保守派」層の支持を集められるのかが、どうしてもわからないんです。私だって夫や息子に夕飯を作らせたりしてるし、決して自分が立派な妻だとも母親だとも言いません。眼鏡だけは一緒ですけど、私は美人コンテストにも優勝していませんし。(まだ比べようとしてる・・・)

でも、よほどの特殊事情がない限りは、どんなに疲れてても時間が惜しくても、毎日家に帰ります。それに「銃と武装と戦争が大好き」でないだけでも、私のほうが女性としてマトモなんじゃないか・・・? 息子を戦地に送って自慢してる母親は初めて見ましたが、アメリカ人の愛国バカ層にはウケるのかな。本来、妊娠中絶反対というのは、そういうことになるような行為を慎もうという意味ではなかったのか?中絶がダメだからむやみにバンバン産み続けた挙句にほっぽるという行為は、聖書の教えに沿うのか?

アメリカでそういう「無計画・無責任」の親を数え切れないほど見てきましたが、多産は無教育の象徴で、特に福祉を受けているような貧困階層に多いというのが通説でした。ちゃんとご計画があって子供さんの多いご家庭には、偏見をお許しいただきたいのですが、今のこの世の中で、5人も7人(←誰?)も子供がいて、一人一人を丁寧に育てるという仕事は奇跡としか思えません。それも専業主婦ならわかりますが、会社経営や政治家の要職と両立しながらですか???

余程お金と地位のある人には何か方法があるのかもしれないが、それはすでに「普通の目線」ではない。「プラダを着た悪魔」の女編集長がひとつのリアルな例かも・・・でも結局は離婚されちゃいましたけど。それも、稼ぐのに忙しくて育児はすべて奥様に丸投げしてきたであろう某大阪府知事さんと違って、ペイリン氏の場合、母親ですよね?しかも障害を持つ乳児の。それで、あの大国の舵取りですか・・・

この母親兼業議員に対して私が抱いている積年の疑問、アメリカだけの話じゃないです。

私の市でも「子育ての真っ最中です!」という「イベント企画会社社長」だという若くて無名な女性候補が市議に出て(もちろん自○党公認)、当選しちゃったもんでちょっとギョッとしたんです。大事な公務中に「子供が熱出しまして・・・」なんていちいち休まれたら、納税者はたまりません。シッターや爺婆に任せて仕事に専念できるのだとしたら、それは「子育て中」とは言いません。

生後2ヶ月の乳児を一人で家に置きざりにして、夫婦で「おしゃれして」外食に出かけて帰ってみたら、子供が脱水症状起こしてた、と自分の連載に平気で書いてた杉村太蔵議員。

母乳と子守唄を強制する極右的子育て原理主義を謳い、いつも和服で「保守派」の顔だが、実は仕事が忙しいときは夫に仕事を休ませて子守をさせているという、山谷えり子議員。それほどまでに「母親の目線」をお持ちなら、どうして、母乳が出なくて苦しんでいるお母さん達の姿が目に入らなかったのか、とっても不思議・・・。

「カリスマ主婦」で料理研究家藤野真紀子議員は、自分の娘さん達との親子関係はボロボロだとか。実の娘達は、「食育」をライフワークとしているお母さんの手料理を食べたことがないんだそうです。

この辺は記事にどうしても名前が出てしまうタレント議員さんだけのほんの数例であって、その他にも、家庭や子育てに失敗している議員さんは枚挙に暇がないはず。

一方、子供を持たないことについて「一人に全部は手に入りませんから」と述べた片山さつき議員。真面目に仕事をしている人達の真実の声は、こっちだろうと思います。太田房江・元知事も同じ意味の発言をされていました。片山さんも太田さんもご夫婦は円満ですけどね。中央官庁のエリートとして修羅場を見て来た女性と、ホイと担がれて出てきた女性の違いだと思います。

あの天才ヤワラちゃんですら、「ママでも金」はもう無理でした。スポーツ選手や歌手や女優みたいな仕事では、生理学的に「ママでも・・・」は奇跡なんです。でもヤワラちゃんは、精一杯の子育てと銅メダルの「併せ技一本!」で、満足してるように見えました自分の大事な身体や時間やお金を使って子供を育てる喜びがわからない母親は、アホです。

実は私も、バカ親だった若い頃、生後3ヶ月の長男を残して2ヶ月間海外派遣に出たことがあります。それ自体は他に得がたい素晴らしい経験だったけれど、それでも、もう二度とあんなことはしません。子煩悩で辛抱強い夫のおかげで、息子のほうは私のことなど忘れ楽しく暮らしていたようですが、私のほうが、寂しくて、息子の写真を見ながら毎晩泣いているような状態で、精神的にまいりました。

ペイリン氏の場合、2ヶ月どころじゃなくて4年間でしょう? 選挙期間も含めたら5年間?そんなに小さい子供と離れて平気でいられるのは、「普通」どころか正気の母親とはとても思えない。女性の権利とか、子育て中の親が「自分の人生を生きる」自由とか、あまり推進しないほうがいいかも。子供達がますます追い詰められていきますから。

これでも私って、「リベラル」派???