眠れる獅子

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こういうことを言うとすぐ怒り出す方が多いので控えておりましたが、やっぱり言いたい。(反論や理性的批判は歓迎ですが、品の無い誹謗中傷コメはご遠慮くださいね~)

中国はやっぱり凄い!!!!!

私は北京オリンピックの開会式を見て、あの予想をはるかに超えた完成度に圧巻されました。『眠れる獅子が、今頃になって起きたか?』と本当に思いました。もともと歴史や、人々のエネルギーや、人数(笑)で敵わないのはわかってたけど、芸術性やエンタティメント性であそこまでやられるとは夢にも思っていませんでした。1984年のLAがオリンピックをエンタティメントに変えたことは記憶に新しいですが、(←新しいか?)今回の北京の開会式のほうが、驚きと感動ははるかに大きかったです。

歴史の長さの違い、乗り越えてきた苦難の違いによる『深みの差』とでもいうのでしょうか。巨大な人口や聖火リレーの苦労も含め、自分達の国の全てをアートとして表現しきっていました。あのしたたかさには、良い意味で、頭が下がりました。文化大革命の間は論語を読むことも禁止されていたというほど伝統を葬り去っていたはずなのに、古代からの伝統文化をあれだけオーセンティックに表現できていることにも驚かされました。

これ、今の日本でやろうとしても、まず無理だと思う。もしどうしても挑戦したいなら、千玄室さんあたりにプロデュースをお願いするしかないのでは・・・?

海外のイベント等で日本紹介ブース等を見ると、プラスチック製の桜の木とアニメのポスターです。自然も町並みも科学技術も怪しい昨今、外国人を惹き付けるネタはポップカルチャーしかないのです。次回立候補している東京オリンピックの開会式では、メイド集団が素人くさい踊りでも披露するのでしょうか?
(その時の首相次第では、テーマ「世界に誇る日本のマンガ文化」で決まりでしょうね)

私は墨絵の世界や枯山水的なものを「日本の伝統」の名のもとに商売に利用してきた一人ですが、「こら、見ろ、本家はこっち(中国)だぞ!」と思い切り頭を殴られた思いがいたしました。

それにしても、あの一糸乱れぬパフォーマンスは何事ですか!

日本人が「楽しければいい」で後継者を甘やかして芸能のレベルをどんどん落としている間に、中国には、妥協無しに鍛え上げられた舞踏家や音楽家があれだけ沢山いたのですね。「10億人もいるんだから優秀な人がいても不思議はないだろう」って話ももちろんありますが、それにしても、あれだけの大人数をひとつにまとめ上げるパワーには頭が下がります。社会主義によるエリート教育や統率力の名残りなのか、自由化による上昇志向のパワーの違いなのか?理由はわかりませんが、とにかく技能レベルは高いほうが見ていて気持ちが良い。巷でも、オリンピック開催に向けて北京の町の人々が一斉に公共交通のマナーを直したり、高齢者が急きょ英会話をマスターしてボランティアしたり、そんな意欲と能力、今の私達にありますか?

頼みの『お財布外交』の国費奨学金も年々減額され、優秀な人材をどんどん外国に取られている日本。早晩、「最先端の技術を学びに行くなら、やっぱり中国かインドだね」なんて時代になるでしょう。すでに私、「美術やデザインで留学するなら中国だ!」ってあの開会式を見て思ってしまいましたもの。PARISでもNYでもTOKYOでもなく、時代はすでにBEIJINGなのか・・・?ええいっ、あれこれ考えてもしゃーない。とにかく恐れ入りました!(完全脱帽)

私はもともと東京がオリンピック開催地に立候補することには賛成していなかったのですが、これを見てますますそう確信するようになりました。今の日本にあれだけの素晴らしい開会式をする力はないから、恥をかくよりやめたほうがいい。そもそも開催に向けて国民の心が全然ひとつにまとまっていない、という点ですでに終わってます。

日本もアメリカも、過去の栄光と根拠のない自信にしがみつくのはもうやめて、もうちょっと真面目に頑張りましょうよ。実際、アジア圏から来る留学生と日本人学生(それも超高偏差値大学の)と毎日接して、真面目さとヤル気と優秀さの違いを肌で感じている私が言うんだから、少しは本気にしてね。