早稲田・馬場下町のカレー屋「タイム」

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早稲田、正確に言うと馬場下町の交差点、穴八幡の擁壁下にひっそりとへばりついていた狭小カレー屋。私はここでカレーの作り方、さらに言えば「料理の基本」を覚えました。帰国してから訪れてみたら、なんと建物ごと無くなっていました~(涙)

近くの交番で聞いても「お巡りさんはそんなに古い話は知らないよ~」と笑われるし、建物が撤去された今では「ここにあったカレー屋」と言っても誰も相手にしてくれません。でも今回、早稲田大学125周年記念の仮囲いアート「1980年代の早稲田界隈」の中に見つけたんです。「タイム、カレ~」の文字をハッキリと!

「タイム(Thyme)」は、いつも馬場下町のバス停前で、いつも存在感のある香りを放っていました。当時は、この香りに釣られてバイトに入った人も多かったのではないでしょうか。(おまえだけや)

当初のレシピは、非常によく炒めてじっくり煮込んだ刻み玉葱をベースに、ちょっと工夫をした要領の良いスパイス配合(企業秘密だよ~ん)。また、ルーとは別に圧力釜で調理したポーク、チキンあるいは野菜のトッピングも絶妙でした。大人気だった「スパニッシュ・オムレツ」は、本場スペインのそれとは全く異なり、微かにカレーの香りをつけた炒め飯ににオムレツを乗せ、トマト&キャベツベースのルーをかけたもの。しばらくすると何気にメニューから消えていたので、理由を尋ねると、「作るの面倒くさくなっちゃって・・・」と、実に欲のないマスターでした。確かに、混んでる時には手間のかかりすぎる「人騒がせメニュー」ではありましたが・・・

どうせ店で一人で新聞読んでるだけのくせに、14時~17時はキッチリお店を閉めてしまう。開けとけばコーヒー目当てのお客さんも来るのに。私が辞めてから暫くして、マスターはインド人の下に修業に入ったと聞きました。そしてメニューも、カッテージチーズなどを取り入れたかなり本格インド的なものに変わっていました。

「一生カレー屋だなんてゾッとしないね」と言っていた元・画家のマスター。お名前も忘れてしまいましたが、今どこで何をなさっているんでしょうか…

また食べたいよ~~~