コミュニティカレッジ

先日の留学話に関して、皆さんが揃って息子の味方をされるので(?)困惑しておりますが、いくら親心はあってもお金はないので、やはり結論は「行きたいならご自分でどうぞ」です。

主人も私も大学時代は親からの仕送りが無く、トイレ共同、風呂無しの4畳半アパート暮らしでした。私なんか、国立大学の学費すら出してもらっていません。日本語が苦手だからとか、センター試験を受けたくないからとか、甘ったれてんじゃね~よ~

私の長い学生経験・教員経験から言わせていただくと、どこの国のどこの大学もそう変わりはしません。(極端な思想を持つ大学だけはちょっと引いてしまいますが・・・)要は、本人がどのくらいヤル気をもって勉強するか次第だと思います

ちなみにアメリカには、年間200万円~なんて法外な授業料を払わなくても入れる大学もあります。(州によって違うらしいので、とりあえずカリフォルニア州での話ですけど)。コミュニティカレッジという公立の2年制大学です。(「短大」ではないらしい)

ここは入学考査すらなく、窓口に並んでお金(授業料x単位数)を払えば誰でも入れます。外国人にはTOEFLの最低要求点があるかもしれませんが、せいぜい500点くらいでしょう。州内居住者なら一単位あたり1000円チョイと、目を疑う超破格!それでも高いとぼやくヤツがいますが・・・

外国人だとその15倍もとられますが、それでも年間50万円くらい。日本の国公立大学より安いです。

問題は、安いのと簡単に入れるので、質の低い学生やヤル気のない学生も混じっていることです。しかし授業は決して簡単ではないので、そういう人達は遅かれ早かれ消えてくださいます。

意外に教授陣が充実しているのも特徴。大手の大学と違い、少人数制で指導も個々に行き届きます。特に実学系や芸術系では、第一線で活躍している人が教えてくれる場合もあり、大変なお値打ち。4年制マンモス大学では、下手すると右も左もわからない院生がバイトで教えてるから、怖いですぞ。

私が通った音楽科にも、全米のコンクールで優勝した演奏家バークリー音楽院からの天下り教授など、「なんでそんなスゴイ人がこんな場末に・・・?」と思うような一流の教授が揃っていました。カリフォルニアは気候が良いので、「老後を過ごしたい」とでも考えて物価の馬鹿高い東海岸から転居してくる方も多いようです。

また私の学校には、オーディションに受かると個人レッスンが無料になるという特別制度があり、幸いにも2年間、毎週タダで偉い先生方から個人レッスンを受けさせていただきました。

英作文やアメリカ合衆国史(知るか!)といった「一般教養必修科目」も厳しく、一時は「もう駄目、衰弱して死ぬ~」と思うほどしごかれました。

アメリカ人は、外国人留学生に対しても一切の容赦を加えないのが特徴です。「このまま通したらアナタのためにならない」というセリフを何度聞いたことか・・・。私も泣きながら頑張って、F(クラス最下位)から最後には何とかAまで這い上がりました。「教養」も深まったし(?)、今はとても感謝しています。

学部は大学院と違い、課題や試験が多く成績のつけ方も厳格なので、単位を取るのは一苦労です。2年制なのに、5年も6年も卒業できずにいる日本人留学生がゴロゴロいます。

コミュニティカレッジは、卒業して「准学士(AA)」という学位をもらうこともできますし、好きな科目だけを夜間などに取って「生涯学習」や「職業訓練」的に利用することもできます。「AA」にステータスはありませんが、高卒よりは格段に就職の場が広がります。いわゆる「ホワイトカラー」仕事に就くための最低ラインといえるかもしれません。

成績優秀ならば4年制大学に編入する道もあるので、最初の2年間をコミュニティカレッジで倹約、というチャッカリ組も結構いますが、有名大学への編入は激戦なので並大抵のことではありません。でも私の教え子の中に、日本人留学生なのにそれを成し遂げて来た女性がいました。親孝行です!今までに出会った世界中の学生の中で、彼女は一番の頑張り屋でした。今でも尊敬しています。

コミュニティカレッジにも名門とそうでないところ、実学向きと一般教養向き、専攻による得意不得意等もありますから、勉強したい分野と目的に応じてよく選ぶことが大切です。もし「しまった!」と後悔したら、単位をトランスファーして転校することもできますけどね。

4年制大学よりも下に見られがちなコミュニティカレッジですが、私はとても充実した2年間を過ごしました。回りに流されずに頑張って勉強すれば、きっと大きな収穫が得られます。