選挙疲れ

アメリカの母校から「助教授募集しま~す」という親書の手紙が来ました。
院修了生全員に出したのか、業績で絞って出したのかは知りませんが、今回はパスです。

大学教員の採用って、よく考えると国会議員の選挙にとても似ています。

公募は参議院全国区みたいなもの。
今時は大学も商売、コツコツ教職に奉じてきた者より、タレントや有名人のほうが断然有利です。

学内選考は、世襲やら地盤やら党の意向やらが働く衆議院選挙といったところでしょうか。
いや、学内だけでなく、全国の系列大学も含めた内部人事ですね。

コネを使って圧力をかけ、自分をアピールする選挙運動を激しく展開します。
地盤のない者は、最初から土俵の外です。

国連職員への就活も選挙だって、WHOオフィサーになった先輩がテレビで言ってました。
お医者さんなのに政治力も発揮できるなんて、凄いパワーだな~と思いました。とても器が違います。

当落を問わず、選挙の後の疲労困憊した候補者の映像は、よくテレビの開票速報で見ますよね。
公募に落選した後の自分の姿に重なります。

私は何をどう間違っても選挙みたいなシンドイものにだけは絶対に出ないぞ、と信じていたのに、
実は似たようなことをしていたのだと思い当たったら、ガックリきました。

しかも大学は公募ひとつに数十から数百の応募がありますので、当選確率は議員さんより低いんです!

今回の自民党総裁選候補はいずれもバリバリの世襲議員ですが、国立大学にも「世襲」はあります。

博士課程で何年もブラブラしてた先輩が、突然助手も講師もすっとばして東工大助教授に就いたので「なんだ、なんだ!?」と思ったら、お父上が東工大の超有名教授でした。

中には比例代表で「ラッキー!」ってポストに着いてしまう無名な若い人もいます。
採用が内定すると、「通してやれ」の教授の一声で書きかけの博士論文が魔法のように通ったりします。

比例代表名簿に名前を載せるには、大人しく上の言うことをよく聞いてよく働くことが肝要だそうです。
体育会系の人が、よく大学院在籍中に助手に採用されます。

議員さんのほうが大変なのは、当選してもまた4年後、6年後に向けての戦いが始まることです。

日本の大学では、一度専任に採用されたら、事件でも起さない限り永久就職です。
もう選挙民に媚びる必要はどこにもなくなります!

アメリカの大学では、業績を上げ続けなければならないというプレッシャーがありますが)。

中には人事の都合で地方の系列にとばされたり私立に天下ったりして世をすねる人も出てきますが、
給料はそのままで(私学なら上って)仕事はラクになるんですから、文句言わないで!と思います。

もうこんな世界とはサヨナラしたい・・・もうおおかたサヨナラしてます。

でも、元恩師の「私達の期待を打ち破り、境界線を広げてくれる新しい同僚を求めます」という言葉、
やっぱりアメリカ人は書くことが違うよな~、とちょっと感動しました。