コネつかわぬ馬鹿

「先生のご経歴なら就職はどこへでも・・・」という社交辞令を真に受けて帰国してから4年、
もう8回も大学の教員採用公募に落ちました。

最後の落選通知を受け取ってからはさすがに深く落ち込み、長年の知人(企業経営者)に
「度重なる不採用の原因は何でしょうか?」と尋ねてみました。

すると、「どうして事前にワシに一言相談してくれなかったぁぁぁ!」と怒られました。
なんとその方は、応募していた大学の理事(経営者の一人)だったのです!!

そんなの知らなかったもーん・・・涙。(←おそらく二度と巡ってこないチャンスを逃した大馬鹿者)

「日本社会は一にも二にもコネや。実力主義で応募してたら一生就職でけへんで」とも言われました。
それでやっとわかったのです。日本における「推薦状」の意味が・・・

私はアメリカ流に「自分の業績を良く知り、正当に評価してくれる方」にお願いしていましたが、
日本で求められる「推薦」とは「有力者からの有無を言わせぬ圧力」のことだったのですね。

道理で、日本の人はロクに知りもしない大物や有名人の推薦状を持ってくるのか、よくわかりました。
アメリカで講師をしてた頃、面識のない留学希望者から推薦状を頼まれて驚いたことが何度かあります。

アメリカの推薦状では具体的な業績を列挙しながら評価を述べますので、
いくらなんでも「存じ上げない方の推薦は書けません」とお断りしましたが・・・。

一方で、コネをつかわなくて助かった、という話もあります。

実弟が就職活動中、第一志望にしていた大手電機会社の会長の息子さんは、私の高校の同級生でした。
部活も一緒、自主制作映画を作った仲間でもあり、卒業後も時々電話をかけ合う友人でした。

しかし彼はとても控え目な方で、自分の家のことはあまり話したがらないほうだったので、
就職活動などに利用されるのはイヤだろうと思い、弟の話をするのは遠慮しました。

結局弟はその会社を不合格になり、第二志望でカメラ系電子機器メーカーに入りました。
どちらもコネなしの一般応募でした。

その後、第一志望だった電機会社は防衛庁関連で不祥事を起し、友人のお父上は引責辞任
一方、第二志望で入った会社のほうは入社以来ずっと業績好調、「一人勝ち」と言われています。

ヨーロッパ駐在後、今では東京23区内のお洒落なマンション暮らし、美人の奥さん、新車の外車・・・etc.
もう私とは別世界の「勝ち組」に・・・

大手私鉄の西○鉄道も考慮したようですが、一連の事件が発覚した今となっては「ビミョ~」な会社。
逮捕された元会長は父の高校の同級生で、弟の大学・学部のOBでもあり、コネは十分だったのですが。

(事件後、ウチの実家にもテレビ局の取材が来て、その謝礼だというビール券を私がもらいました)。

自分の同級生を見回しても、大手建設会社や不動産会社の管理職、施主になりそうな方、
国土交通省のお役人など沢山いますが、仕事のことで何か頼んだことは一度もありません。

今のバイト先を見つけたのも、アメリカにいた頃、日本から送られてきた荷物を包んであった新聞紙に
「○○大学△△学部新設!」という広告が目に留まったので、「講師は要りませんか~?」とメールで
履歴書を送ってみたところ、「非常勤でもよろしければ~♪」と採用していただきました。

今思えば、こんな「飛び込み営業」で雇っていただけたなんて、とても有り難いことだったのですね。
でもアメリカでは、就職活動ってそんな感じです。一年中、空席を探して個人的に応募するのです。

商店等に「Are you guys hiring?(働かせてくれない?)」と飛び込んでくる人達もよく見かけます。
日本では「頭おかしぃんちゃう?」と思われるかもしれませんね。